誰でもできるようになる 愉気の入り口と困ったこと

生活整体 野口晴哉に学ぶ

【 誰でもできるようになる 愉気の入り口と困ったこと 】

あらかじめYoutubeにアップする動画を撮影して、文字起こしして手直ししていったら、Youtubeの内容とは一味も二味も違ったほぼ別ものの内容になった原稿です。


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私の駆け出し時代には、この「手のひらが自然に吸いつく」という感覚がいっこうに分かりませんでした。

誰でもできそうに簡単に書かれているから、いっそうできないとお手上げです。吸いつかない、分からない、俺には野口整体できない、わー、てなもんです。

その後、幾人かの野口整体を実践されている先生とご縁があって、河野智聖先生のところで救われました。ミュートネットワークでは手をかざさないで、背中に手を乗せたまま滑らせていくという方法が採用されていて、それが私にとってはとっても良かったんです。

吸いつくのを待っていると、頭がこれでいいのかな、どうなればいいのかとか忙しく考えるから余計に分からなかったんでしょう。

ただ手を滑らせていくと、ある点を通り過ぎた後で、ふっと帰ってきたくなるんです。そこから「手が吸いつく」という感じはいまだに明確ではないのですが、「手が立ち去り難くなる」という感じならはっきり感じます。

ちなみに現在では「どこかな?」と思いながら相手の方を観ると、目が先にとらえてくれるので、そこに手を当てるだけというレベルにはなっています。

ですから「吸いつく」という探し方を止めて、ある一点を通り過ぎたときに、ふっと手を戻したくなる、立ち去りがたい感じがする。ああ、これなら分かる。確かに感じている自分がいる、というので、その感覚と出会ってからは迷わず手がいくようになりました。

皆さんの中にも「吸いつく」が敏感な人もあれば、「ひっぱられる」と言った方が気づく人もあるかもしれません。「そこで重くなる感じ」の人もいるでしょうし、「今のところなんか気になる」という感じの人もあれば、私のように「立ち去りがたい感じ」で気づく人もあると思います。

そうやって「立ち去りがたい感覚」を中心にして、人に手を当てる整体というのを始めました。

最初は手のひらでしたけど、「その場所」が点でとらえられるようになるにつれ、よりピンポイントで「そこ!」という感じが増すように指先で押さえるようになっていきました。

そうやってこの「手の止まるところ」を組み合わせて人様を整体していきました。数をこなしていくほど、相手の身体がいい方向に変わっていく感触みたいなものは出てきますから、それなりに間違っていないな、という自信めいたものも出てきます。

どこに手を当てたらいいのか分からなかった時代を経て、手の止まるところを組み合わせていくだけでも、けっこう整体になるんだと実感が深まっていきます。そうすると、困ったことが出てきました。レベルがあがったからこその話なのですが、自分の中でむくむくとある疑問が膨らんできたのです。

「自然に手が止まる場所」に手を当てるという整体の、「自然に手が止まるところに手を当てればいい」というのは、「整体をする側」の場所選びの方法です。

そうではなくて「整体(愉気)」を受けている側の話なんです。

つまり、自分が手を当てているところの「相手にとっての意味」が分からない。

一般的に言えば「悪いところに手を当てたら良くなる」という図式でしょうけど、私の手が吸いつくところというのは「ここは効くところ」という実感は確かにあるのですが、悪いところだという感じはしない。

悪いところなら良くなったという感じでしょうが、はなから悪いところ、と言う感じがしないので良くしたという言葉が合わないのです。だから相手の何がどうなるところを応援しているのかが分からない。

ここの私の疑問がうまく伝わりますかね。手を当てるところの探し方も分かります。効いている実感もあります。そろそろ終わりだと手が離れる感覚も分かります。

ただ、何をどうするのに効いているのかが分からない。(つづく)


「生活整体」と「和の体育」研究家
触覚の体育・進化体操

津田啓史 拝

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