(64)最終回

誰がやってもそうなる、という方法でかなりいい線にきました。ところがたまに「そうならない人」が出てきます。身体が不自然なきわみ、無理の固まりで反射が出ない、という場合があります。これは仕方がない。時間をかけて解きほぐしていけば出でくるでしょう。

ところがそれ以外に、人によってできる動きとできない動きというものが実際にはあるのです。それは筋力が弱いから重たいものが持ち上がらない、とかそういうことではありません。人によって無理のない動きが違う、という言い方の方が当てはまるかもしれません。

例えば、進化体操のクラゲ体操で、足先でステップした方が動きがよくなる人と、かかとでステップした方が動きがよくなる人がいるのです。

野口整体の体癖論では、人は10種類の体癖のどれかに当てはまります。(厳密にいえばいくつかが混じりますが、最も色濃いものはあります)そして、その体癖によって得意な動き、メインの動きというものが導かれます。逆に言うと、そのメインを動きを封じられたら、極端に運動性能が落ちるのです。

胸を張って動きの起点にする人は、背中を丸めると動けなくなります。首の後ろを伸ばして動きのきっかけにする人は、首の前を伸ばされると動けなくなります。

自動車でもエンジンが前にあるものと後にあるものがあります。それでエンジンと直接つながっているタイヤが前輪だったり後輪だったり四輪駆動だったりします。そういったタイプに合わせた研究をしないと、せっかくの左右差の体育が生かされなくなります。

ものすごく素晴らしい薬ができたとしたら、よけいに「こういうタイプの人に効く」「こういうタイプの人には効かない」を調べなければいけません。副作用の有無などは慎重に押さえておくべきでしょう。

「誰がやっても、この方がほぼやりやすくなります。ただし、あなたのタイプの場合は、ここだけ逆に出る可能性があります」

ここまでできないと、進化体操、左右差の体育などまだ広げられなかったんだ、ということが分かってきたのです。

今までは自分の身体で人体実験をしていればよかったのです。これからは来られる方全員の身体のタイプを研究する必要がはっきりとわかってきました。そうなると時間がまったく足りません。なので、少しでも研究時間捻出のために、この連載もそこそこみなさんに伝えたいことは書かせていただいたので、いったん休載?このまま終了?そこはまだわかりませんが、させていただきます。

本当は分かっていたのだと思います。そこまでやらないと納得のいくものにならないということは。ですが、そこに手を付けるとほんとうに大変なので、見て見ぬふりをしていたのです。それなしでも通用しないかなとやってきたのです。

皮肉?なものです。誰にでもいい身体の使い方の引き出し方がとてもいい線まで来たからこそ、個人別の特性を明らかにして、線を引く必要が出てきたのです。

やらないで済ませようとどんどん距離を取っていったら、一周回って隣り合わせになってしまいました。(笑)そうなってみると、結局自分が一番やりたいところだったということでした。

まずは、過去60余話のご愛読、ありがとうございました。今後も最新情報はこのメルマガやHPでお話しますので、引き続きご愛読ください。

津田啓史 拝