高速道路・大雪閉じ込められという災害から1

【高速道路・大雪閉じ込められという災害から1】

大雪で車1000台が高速道路内で二晩以上立ち往生。自衛隊が出動して救援活動を行っていると報道されました。このケースを通して、災害救援というものの理解を深めていただけたらと思って書いています。(長くなったので月曜火曜の2回でお届けします)

Twitterを見ていたら、「自衛隊最高!」「これで助かるね!」「さすが自衛隊」みたいな投稿がありました。私は決して自衛隊否定論者ではありません。おじの二人は自衛官で身近だったし、憲法論議は別にして、戦争は決してしてもらいたくないですが、リアルに今自衛隊を無くせると思ってもいません。そういう立場です。こういう見方もありますけど、というお話しです。

大雪の前に、大阪府の吉村知事が新型コロナ重症者専用病棟を作ったものの(ないよりはよかった!けど同じようなものを作った兵庫県よりも建設費がかなり割高だというのはなぜ)看護師さんが集まらず自衛隊に派遣を依頼しました。それに対してTwitter上で「自衛隊は国防が任務だ。気安く頼むんじゃねえ」という批判がありました。

吉村知事が大阪市廃止住民投票の時期に、極端に当庁回数が少なかったのはデータで出てますから、あの時期に人の確保にもっと奔走していたら状況は変えられた可能性があります。

「自分がやる事をやらないでツケを回すな」という意味では賛成ですが、公務員が本来の任務以外はやるなというのには反対です。公務員はいざというときにはやれる人がやれることをやるべき立場です。災害時には、戸籍係の人が給水の手伝いにいったっておかしくないでしょという話です。

話は高速道路の大雪の話に戻ります。「自衛隊最高!」「これで助かる!」という自衛隊賛美の投稿にはかなり違和感があります。自衛官のみなさんは、徒歩で車を回って声を掛けたり物資を配ったりしていて手作業で車の周りの雪をどけています。その映像だけ見ていると、大変だなー、ありがたいなーと私も思います。

私の災害救援活動の先輩で長野の雪深いところにお住まいの先輩Sさんが、通るかどうかわからんけれども、とりあえず面識のある国会議員さんを通して提案だけはしたという話を聞きました。

豪雪地帯では、小型の家庭用の除雪車があります。雪を吸い込んで遠くに吹き飛ばすやつです。Sさんは普段から地域のお年寄りの家など、それを持って行ってお手伝いとかされています。地域の消防団などがやる共助のしくみがあるらしい。

だから、今回の高速道路豪雪ストップに対して、軽トラにその小型除雪車を積んで、除雪になれた消防団と一緒に高速道路に送り込めばいいというプランです。

車から離れた道路の両サイドの雪は、小型除雪車が人力では到底及ばない速度で道路外に吹き飛ばせます。自衛隊の人力スコップ隊は機械が入れられない車のごく近いところだけやれば能率があがります。土砂に家が埋まったような水害で、家屋周りの土砂は小型重機を使ってどんどんどけていき、屋内の機械が入れられないところは人力でやるのと同じノウハウです。

何が言いたいかというと、自衛隊のみなさんに人力・手作業の非効率な作業をさせて「自衛隊すばらしい」は違うでしょといいたいのです。せっかく出動するのであれば、効果的効率的な作業をさせてあげたい、やってほしいのです。

自衛隊の練度というのは非常に高いらしく、同じ訓練をアメリカなどとやると、射撃とか各段に精度が違うらしい。空母の訓練におとりの潜水艦として参加したら、日本の潜水艦がアメリカの空母を撃沈できるところに持ち込めてしまって困ったという話も読んだことがあります。

それは、その訓練を徹底しているからであって、訓練しておらず準備していないことに関しては、自衛隊といえども体力はあってもノウハウはないのです。
(つづく)

 

命あってこその整体だから、
まず防災を呼びかける整体師

津田啓史