10年前の今ごろ、宮城県石巻市で整体ボランティアしていました その記録3
「10年前の今ごろ、宮城県石巻市で整体ボランティアしていました その記録3」
【4月2日】
朝4時半起床。おじさんの朝は早い。寒いからだけど。
7時、宿舎ボランティア、ミーティング
7時半 地域の方からの差し入れカレーとおにぎりで朝食
8時半 専修大学内ボランティアセンターへ
資源エネルギー庁から提供のガソリン提供チケットを受けとる(配給時間には遠方で活動しているので、ついぞこういうガソリン支援を受けることはできなかった)
9時半 河北地区最大の避難所「ビッグバン」へ向かう途中の道の駅になんと温泉があり、一週間ぶりの入浴。
10時半 ビッグバンで整体
12時半 炊き出しに山本リンダさんが出現
午後には、午前の続きで館内あちこちを訪問整体。
16時ごろに小野さんが会議室を整骨院にしつらえて、館内放送してもらったら炊き出しのように人が押し寄せて来る。
正確に数えられる状況ではなかったのだが、結局6人のチームで診た数を足していくと、どうやら今日一日で100人!ほどの人を施術したようだ。
小野さん、結局そのままビッグバンに泊まりこみでそのまま施術を続けたのである。
帰路、そのまま北上川西岸を下って雄勝地区経由で帰る。メンバーが増えたから、単に大学と避難所だけでなく、本当に被災したところも可能な範囲で見てもらうという作戦である。やはりここも「壊滅」という表現をせざるを得ないところ。
低い陸地の部分では、住める状態の家屋は一軒も見あたらず、ただがれきが続くだけ。人の気配はない。夕方の薄暗がりが広がりはじめた中に、唯一雄勝総合支所(市町村合併前の町役場)の屋外のプレハブ小屋のみが明かりを灯しているだけ。本来ならば支所に寄って情報収集すべきところなのであるが、あまりのわびしさにそのまま帰ってしまった。
19時 NPO連絡会議 アメリカから緊急帰国の鍼灸師の渡瀬さん合流。
21時 宿舎へ
昨日ビッグバンに下見に行った。周辺のライフラインは復旧していた。津波被災地域ではないので、街も施設もきれいだった。おまけにここではすでに風呂が設置され、男女交代で一日おきに入浴もできるという。ビッグバンで下見・打ち合わせをしている時、もっとも薄汚れているのが、私たち整体チームのメンバーだった。
防寒にかぶっていた毛糸の帽子を脱ぐと、自分の頭の臭さに一瞬うっとなるほどだった。和歌山を発ってから、一週間入浴できていない。ひげも剃れていない。これでは、その悪臭に被災者がかえって不快になるかもしれない。
ということで、ビッグバン整体の前に入浴となった次第だ。
お風呂の中では、浴槽よりも「洗う順番待ち」の方が混雑していた。ざっと20人以上が、お風呂の中で列を作って体を洗う順番を待っている状態。20分並んで蛇口とシャワーを前に垢を落とす。そして入浴。一週間入れなかっただけでこれだけ気持ちいいのだ。被災後まだ一回も入れていない人も数多くまだおられるだろう…
ふたたび昨日ビッグバンに下見に行った時の話。担当窓口になって下さった保健師Tさんに訪問の趣旨をお話すると
「え~、整体してもらえるの~。わあ、嬉しい~!やってやって。まず私をやって~!」
と言って、施設内の「トレーニングルーム」に連れて行かれた。そこは被災前はウエイトトレーニングができるような施設だったところで、現在は寝たきりや身体の不自由な方用の部屋になっている。Tさん、いきなり空いたベッドにどかっと大の字になった。
誤解されては困るのだけれども、被災者を押しのけて整体を受ける行政の人、と非難しているわけではまったくないのである。そんな単純な話ではないのである。
行政の人も多くの場合は被災者である。家族を失った人だって多く、自宅を片づけにも行けないで職務に忙殺されている多くの行政職員の方がいるのである。
さらに現場の事情を言えば、東北の方々はとても遠慮深い方が多いのである。整体しましょうかと声をかけても、「私よりも大変な人に先に行って」というような応対がしょっちゅうだったのである。
ところが、誰かを整体していると、どこからかレーザービームが当たるのである。「整体受けたいビーム」である。で、前の人が終わった瞬間にビームを出している人に「どうぞ」と声をかけると、ふらふらと来られるのである。そうやって蟻の一穴が開くと、怒濤の整体ラッシュとなるのである。
だから、最初に誰かが気持ちよさそうに受けてくれるというのは、実はとてもありがたいのである。さらに、その人が周囲の人に及ぼす影響が強い人だと後がとってもスムーズなのである。
だから、ほかのメンバーがTさんに整体を始めて「そこ気持ちいいわあ」とか言っているタイミングで、すかさず私はかたわらの年配の方の上にふわりと手を置くのである。なしくずし整体開始なのである。
しかし、Tさんもプロである。のうのうと受け続けるのではなく、あっちの寝たきりの人、こっちの年配の人と、どんどん体調を聞いたり冗談を言ったり。
こういうエネルギッシュな陽性の人がいると、避難所の雰囲気はどんどん変わるのである。(もう一日分だけ続けます)
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