うまくいく方法がわからなくても、やれる方法 へたれん その2

【うまくいく方法がわからなくても、やれる方法 へたれん その2】

「だから、尺八を吹くときにわざと

◎音程を外しながら吹き
◎早めに吹いたり、遅らせたりしつつ
◎わざと音が出ないように吹いたり、ぼやけた音を出したり

というのを挟むのです」の続きです。

そうするとどうなるかというと、「わざと下手に吹く=へたれん」から通常に戻すと、もう不思議としか言いようがないのですが、うまくなっているのです。

これって、実際に講座で体験したり、目の前で誘導を受けた人がいきなり大化けしたのを見たりということを経ないと、その「うまくなる」のレベルが実感できないからブログで書くのが嫌だったんです。

それまでの延長線上には「ない」レベルのところにぽーんと行きます。大げさっぽくて使いたくないですが、「異次元の変化」と言いたくなるような、そういう変化を呼び起こします。

でも、このやたら長いブログなので、当然私が他の人の書いたものを読むときにそうするように、ざーっと流し読みする人も多かろうと思います。でもそれだと、そこまですごいことを書いているとキャッチされる方が、とても少なくなるだろうなと思ってしまいます。

その読み方だと、さらっと読んだだけで消えてしまいます。だから、「その気で読むぞ」と登録していただいた人相手に、出し惜しみなくもれなく書きつくして、なおかつ書籍化テキスト化して残していこうという目論見です。それが近日開始の有料メルマガ構想です。

話を戻します。へたれんによる尺八の上達の違いです。

つまり、いままで「それなりに正しいだろう」という決めつけて吹いていたので、「改善するきっかけがない」状態だったのが、一度「下手」に振ると揺り戻しでより精度が高い方に近づくのです。人間ってまだまだ使っていない機能がたくさんあるような気がします。

尺八というのはなかなか音の出ない楽器です。今でも吹いている途中に音が出なくなることがあります。いつの間にか音の出せない唇の形になってしまうと、しばらくは、かすれた音しかでなくなります。つまり自力で復旧できないのです。

ところが、意識的に音が出ないような吹き方を短時間でも身体に強制すると、そのあとは、普段以上に高い精度で尺八の歌口に正確に息をあてることができるようになるのです。

リズムを外すと遅れにくくなるし、音程を外しながら吹くと、そのあとはいつも以上に正しくなります。自分の正しくなった音を聞いて、普段どこをアバウトな音程で吹きながら見逃していたのかというのに気付けるのです。

この方法は、スポーツにも使えました。テニスの経験者に、おっそろしく下手な素振りをしてもらった後、自由に振ってもらったらそのあとの素振りが素人目に見ても信じられないぐらい別ものに変わります。

正しいものというものは、なかなか分からない。正解というものだって、時と場合で変わったりすることもあります。

何かを長くやっていると、その分野における「見る目」が養われてきます。この「へたれん」というアプローチ法は、その「見る目」を短期間に養う効果があるのは間違いありません。

そして「見る目」が養われることほど、上達・レベルアップにとって必要不可欠なものはありません。

生活整体研究家
進化体操と和の体育

津田啓史 拝