津田ひろふみのウイルス探求中 その4

【津田ひろふみのウイルス探求中その4】

『無症状感染者はレアケースなの?』
感染防止に役立つような話ではありません。ただ新型コロナへの見方を柔軟にしよう、脳みそが固まるのを防ごうというウイルスや感染症のお話しです。

新型コロナは、「無症状の感染者がいるからやっかいだ」ということを聞きます。ところが、この話の背景にある話を少し調べたり考えたりするといささか話の印象とは違ってきます。

素人が平たく考えても、感染症の研究というのは「感染して発症した人や病状や病原体」の研究が圧倒的に多いということは予想できます。病原や病気の症状や治療法、つまり感染して病気になった人に現れるものを研究するのが普通ですよね。

ある病気を研究するのに、その病気を発症していない人を研究する人はまずよほどの先見の明があったか変人です。昨今の大学の厳しい研究予算の中で「感染症にかかっていなさそうな人がほんとにかかってないのかの研究しますので予算ください」といっても通りそうもありません。(大学というところは、お金を稼げない分野はどんどん研究費が付かないような方向へ進んでいるそうです)

今までの感染症というのは、感染して発症してからスタートしていたのです。身近なところでインフルエンザですね。冬に風邪にしては症状がきつい。どうにもきつい。だから、かかりつけの内科に行って診断キットで検査してもらい「インフルエンザですね」ということになります。

そうやってインフルエンザと診断された人を定点観測して、全体の感染者数を推定して、厚生労働省はインフルエンザの流行状態を知り統計記録に残しています。

何が言いたいかというと、インフルエンザというのは、基本的に発症した人を治療し、統計に残している。発症していないインフルエンザ感染者というのは今まで省みられていなかったのです。インフルエンザだと、感染した周りの人は「うつらないように気を付ける」という行動をとり、周りの人も発症しなければ「うつらなかった」と結論付けます。

「うつったかと思ったけど、ただの風邪程度やったからインフルエンザはうつってへんわ」というような会話は我が家でも過去何回か聞いた覚えがあるのです。

掛かるワク組みで推移してきましたから、インフルエンザを発症した人の周りの「濃厚接触者」を症状のあるなしにかかわらず追跡して「PCR検査」などしてこなかったということなんです。

インフルエンザ感染者=インフルエンザ発症者

として扱ってきたということです。

発症していない人は、感染していないという前提で物事が進んできたわけです。だから実際には、インフルエンザに感染しているけれども発症していない人がどれぐらいの割合でいるかというようなことは、今まで大々的には研究されてこなかったらしいのですね。新型コロナの扱われ方がとても特殊というか新しいということですね。少なくとも日本では。比較的最近であるサーズやマーズの時の諸外国の事例までは調べていませんので。

私が5年前にインフルエンザになった時の話です。

娘が大学受験だったので、ただの風邪気味というレベルでしかなかったけれども、10年ぶりぐらいに医者に行きました。症状を見て問診したドクターは「どうみても風邪ですね」と「診断」しました。

で娘が受験だから念のために来たというのは話ししていましたから、席を立って帰るという段階で「大丈夫だと思いますが念のために検査しましょうか」ということになりました。で検査したらドクターが「当たりですね」と言ってインフルエンザでした。で、自宅内隔離されました(笑)

新型コロナは「無症状で感染している人がいるやっかいなウイルスだ」なのかもしれませんが、あらゆる風邪的伝染性疾患は、実は無症状の感染者をけっこうな割合で含んでいる、というのが実際だったのかもしれません。