【変わるためにはまず本来に戻る事】
●社会的姿勢と私的休養姿勢
私が整体の一つのよりどころにしている、身体の特性の話をぜひ皆さんも聞いてください。
人には「社会的な姿勢」と「個人的な姿勢」があります。前者はようするに「人目があるからこうなっている」という普段人に見せている姿勢のことで、後者の一例をあげると「身もふたもなく疲れ果ててソファに倒れこむように休んだ時に無意識にとる最も休まる姿勢」のようなものです。
また、左を上にしないと眠れないとか、あおむけでは寝付けないけど、膝を立てると楽だというようなものも同類です。電車では浅く腰かけて背もたれにもたれないと休まらないとか、そういうことです。
人の筋肉と骨格の形状や組み合わせから、このあたりが理想だという立ち位置、座り姿勢というものは物理学的や生理学的に存在しえます。ですが、赤ちゃんの時にはなかったその後の人生のしがらみが人体には年々積み重なっています。それに季節、気温、湿度、あなたの仕事内容、その時の姿勢、心理や人間関係といったものが内在して「まっすぐの姿勢ではまとまらない、休まらない。やむを得ず変形せざるを得ない」というものがあるわけです。
●あえてゆがみに沿っていくと真ん中に戻る!
それをできるだけ減らして、「本来生まれ持っている骨格と筋肉の連携がもっとも楽に有機的に働く姿勢や動作姿勢」が楽になるように「戻す」ということが整体の役割だと考えます。
ここからが声を大にして言いたいところなのです。人は、
「そのやむを得ず採用している変形に近いづいた形で、そこに単純反復運動をかぶせると、その変形は急速に本来のバランスの取れたところに戻る!!」
という素晴らしい特性があるのです。
単純反復運動というと例えば「歩く」です。「呼吸する」もそう。人にやってもらうのでしたら「皮下チューニングで皮膚を単純反復させる」もそうです。
たとえば仰向けになって「もっとも楽になる足幅や足先の開き方・内外」を探します。ピタッと来るとそこで足を持ち上げるのが楽になります。(自分でも、人に持ち上げてもらっても)呼吸も深くなります。緊張が減って柔らかくなります。
「右足先は外を向いて開き気味で10センチ浮かすと快適!左足は内に締めてあまり外に開かないと一番軽くなって15センチ上がる」
みたいなことは、そういう動作や呼吸の観察を通せばそれほど難しいことではありません。で、上に書いたような足の位置を割り出し、パートナーがそのかかとを持って仰向けのままのあなたの足をあたかも歩いているがごとく、その「左右非対称な歪んでいるともいえる動きのまま」動かします。ピタッと来るほど、自分でも無意識に動かしたくなります。
そのぴったり感覚がいいほど、緊張は減り、呼吸は深く、背骨はくにゃくにゃと連動します。そしてこれが決定的に魅力的な部分、今日一番知ってほしい話です。
その人のゆがみ特性にぴったり合わせたところで単純反復運動をすると、時間とともにノーマルな足の位置に足が戻ってくる!のです。ノーマルな位置での可動域が上がり、ノーマルな位置での呼吸が最も深くなります。つまり「身体にとって本来正しい身体各部分の位置にいることがもっとも楽」になるのです。
無理やり矯正しても無理があります。熟練者にやってもらわないとできません。でもこの方法なら、練習していけば自分で自分の身体の「もっとも楽」な姿勢が読み取れるようになるだけでなく、自分で自分の身体を整体していけるようになります。
コロナ生活で講座が開けなくなっても、これをみなさんが身につけられたらかなりの強みになります。
【関連動画】
今回紹介する動画は、解説内容よりも一段シンプルな
「外またのようなゆがみ方向であおむけ歩行を誘導すると、最適な足幅に戻るという骨盤股関節調整法」です。
もとになる考え方は上記で紹介したものです。
また、こちらの動画は、より上記本文により近いものです。
「体のヒアリングで骨盤調整」