津田ヒロフミのウイルス探求中 その2

【津田ヒロフミのウイルス探求中その2】

毒性が強いウイルスを「最強にして最凶のウイルス」などと言います。それはそうなんですが、実は誤解が含まれています。

その1で書いたように、ウイルスというのは自分ひとりでは生きていけない寂しいやつです。移動もできません。ウイルスが自分で出家することはできません。たまたま咳で吹き飛ばされて、前にいる人の鼻に入るか指先などを通して鼻や口に入るかという僥倖を得ないと生き残り、家系を続けていくことができません。なんて破天荒な生き方でしょうか。

最凶のウイルスは実は最弱なのです。

あなたが最強のウイルスだとして誰かに取り付き、毒素をまき散らして身動きできなくします。するとどうなるかというと、その感染した人がほかの人にうつすことが「できなくなってしまい」ます。人に会いにいけないからです。最悪、あなたがとりついた感染者があっという間に死んでしまったら、ウイルスであるあなたもあっという間に死んでしまうのです。

だから凶悪であればあるほど、そのウイルスの家系は長く子孫を残していく可能性が低くなります。軽い症状でこほんこほんぐらいはするけれども、移動は可能という程度の症状が出せるウイルスほど、感染機会をたくさん生み出せますから最強なわけです。

あくまでも長い目で見たら、というところが残念な話ですが、凶悪な症状を出し、人を死に至らしめるようなウイルスは自滅せざるを得ない、そういうのがウイルスの特性なんだそうです。だから硬軟強弱いろいろと変異して、長く生き延びることができるちょうど頃合いの強さのウイルスが結果的に生き延びていくことになる、と言えるのです。

ちょっとウイルスのイメージは変わりませんか?