中年のおじさんはなぜ臭いのかの免疫的解説

この数カ月新型コロナのことやウイルスのことを書いてきました。間違いもありました。例えば、初期にはたくさんの人が罹ることで集団免疫が獲得できる、ということを前提に書いていました。

ところが、新型コロナの抗体が、数カ月で消えてしまうみたいだ、という研究結果も見受けられました。そうすると集団免疫に期待するのは無理なのか?ということにもなりますが、専門家の中にも「すでに集団免疫を獲得しているから日本は感染拡大速度も遅く、重症化も少ないのだ」という論も最近読みました。PCR検査こと重要だという論もあれば、あてにならないという説もあります。

そのあたりを絡めて、国の対応に対する不満などを書いても「こうなれば解決」というものを私が提示できるわけでもないので、そういうことは書きません。かわりにみなさんのなんとなくのコロナ・感染症・ウイルス・免疫などのとらえ方に、ちょっと角度を変えて柔軟に見られるようになるかもしれない?情報あたりを書いていくことにします。

ということで「ウイルス探求」に続いて、免疫周辺論その1です。

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【中年のおじさんはなぜ臭いのかの免疫的解説】

コロナをめぐりましては、その免疫をめぐりまして抗原とか抗体とか集団免疫とかいろいろと言葉が飛び交いますが、そもそも免疫というものは広い意味でとらえると、ウイルス・微生物・寄生虫など、望まない生物の侵入による不調や疾病を妨げようとする一連のしくみを指します。

そう考えると鼻毛だって働いているし、鼻やのどの粘膜の繊毛だって頑張っている。皮膚そのものもバリアです。今日はその皮ふの免疫の話として、中年のおじさんはなぜ臭いのか問題(私自身が該当するので遠慮なく論じます)で免疫への理解?を深めたいと思います。

中年以後のおじさんがなぜ臭いかと言えば、別に臭いものを分泌しているわけではありません。少年・青年期にはみずみずしかったのですが、人体の水分含有量というものは年齢とともに下がってまいります。

     

毎年授業を受け持っている東住吉高校で「重心のバランスが整う足の裏のテーピング」を実習しましたら、高校一年生の足の裏は実にみずみすしく、おじさんおばさんのひび割れてかさかさの足の裏と違って、テーピングの貼り付きぐあいが非常に弱いのにびっくりしました。

青年よりも中年は水分量は低下しますが、代わりに油分を分泌します。油分の分泌には男性ホルモンがかかわっているのです。だから「脂ぎった中年男」という表現は医学的に正しい。しかしながらこの油分そのものは大して臭くない。ところが皮ふに住み着いているある種のバクテリアがこれを分解して臭い成分に変えてしまいます。

なので、皮ふの免疫が活発で過剰ににおいのもとになるバクテリアが繁殖しないように抑制できる働き者の免疫をもったおじさんは臭くなく、皮ふ免疫の弱いおじさんは臭い、とこういうふうになっているのです。

だからといって全身の皮ふを殺菌消毒、アルコール風呂に入ってやったぜ、これでもう臭くない!という作戦も早計です。皮膚には常在菌といって、一定数の細菌が住み着いています。それらの中には肌を弱酸性に保って、その働きで病原性のある細菌の繁殖を食い止めるものもいるのです。細菌が免疫のような働きをしてくれているのですね。

だから、全身をアルコール殺菌なんかしたら、臭くないかもしれませんがすぐに風邪をひくように虚弱になります。だからやめた方がいい。

ところで、娘が年頃になると「お父さん臭い」と毛嫌いされるということをよく聞きます。ここには、「皮脂を分解するバクテリア問題」以外に「種の保存、繁栄」につながる深淵なる生命の神秘とでもいう働きがその背後にあるのです、というお話しは次回で。