熱中症を斜めから考える

どんなに気を付けてもうつるときはうつる。

まだまだその正体がはっきりしない新型コロナは、先にかかった人がおられてこそ、データは集まり少しずつ解明が進みます。

先達のみなさん、ありがとうございます。お疲れ様です。 いつかは私も追いつくかもしれません。その節はよろしくお願いします。

今日は、コロナからは少し離れて「熱中症」です。

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【熱中症を斜めから考える】

そもそも人が密でない屋外でのマスクそのものは不要な場合の方が圧倒的に多いのですが、世の中では「とりあえずマスクをしていないやつは悪い奴」とみられるので、かえって熱中症の確率を上げているのではないかという昨今です。

「とりあえずマスク」というぐあいにマスコミは単純化して情報発信してしまいますし、受け取る方もそれを好むのでしょうね。熱中症もまた「熱中症には水分補給」というぐあいに単純化した「決まり文句」がニュースの最後などに付け加えられます。

そこは「発熱には解熱剤」、「熱中症には水分」というぐあいにあまり単純化しない方がよいと思います。熱中症というのは「暑熱環境における身体適応の障がいによっておこる状態の総称」というのが定義です。

あんまり暑いから身体がとち狂っちゃったよ、というわけです。とち狂った結果が脱水症状や体温上昇や頭痛や意識を失うという結果を招くわけで、もちろん水分が不要というわけではありませんが、昭和の運動部みたいに3時間も4時間も「水は飲んじゃダメ」という練習をしていても、身体の調整機能がそこそこ対処していれば熱中症にはならなかったわけです。

私の卒業した中学校も高校も10クラス以上ありました。低めに見積もって一学年400人。三学年で1200人。四分の一が運動部だとして300人。市内に高校が現在11校で、閉じたのが4つあるので当時15校ぐらいあったかも。ということは毎日4500人ぐらいが夏場ろくに水も飲まずに運動をしていたことになります。中学校も同じだとしたら、市内だけで毎日1万人は水も飲まずに運動をしていて、それが50近い都道府県どこでも当たり前のように行われていたのですが、学校に救急車が来たという記憶はありません。

何が言いたいかというと「水分補給が大事」ということのみ発信していていいのかな、ということです。今日は「なぜ熱中症にならなかったのだろう」は考察しませんが、角度を変えて「何を飲むか、どんな風に飲むか、例えば何度のものを飲むか」という情報などがセットになっていないといけないんじゃないかということを述べます。

まず何を飲むかという話ですが、これは災害救援仲間の看護師さんから回ってきた話です。

熱いさかりに屋外の作業などでガンガン汗をかいたので、甘いジュースを飲む。一気にがぶがぶと大量に飲んでしまう。ジュースだと糖分はすぐに血中に吸収されるからあっというまに血糖値が上がり、そしてあっという間に下がる。で低血糖になって意識を失って救急搬送されてくる人が夏場になると結構な数ある、とのこと。だから甘いジュースをがぶがぶというのは結構やばいという話です。

次にどういう温度のものを飲むかという話です。熱中症というものが「暑さへの対処能力がキャパを超えて対応できなくなった状態」です。であるならば「暑さへの対応能力さん」にできるだけ合わせた行動が望ましいということになります。

ところがみなさん、暑いものだから冷たいものを飲む。夏場に冷たいものといったって、人間の過去の生育環境からいえば湧き水か井戸水ぐらいしかなかったわけです。キンキンに冷えた夏場の飲み物というのは人間の歴史にはほぼない。手軽になったのはせいぜい戦後だいぶたって冷蔵庫が普及してから後でしょう。

冷たい飲み物を胃に注ぎ込みます。胃というところは、もともと皮ふ表面よりも温かく37度ぐらいを保ちます。それぐらいがもっとも機能がはたらくのですね。そこに冷たいものをどどどと注ぎ込みます。

人間は井戸につけたスイカではないので、冷やされば「冷やされるもんか」と発熱します。外は暑いにも関わらず、胃袋を冷やされたものだから身体としては必死になって発熱してもとの37度に戻そうとします。だから夏場に冷たいものを飲むとほてります。

 

暑さに対応不能になるのが熱中症なのに、ますます体温を上げざるをえないようなことを冷たい飲料のがぶ飲みは招くわけです。熱中症を予防しようとして、体温を上げたくない身体に対して、発熱を促すようなことをしているわけです。

だから「水分補給を心がけて」というのは片手落ちです。温かいもの、冷たすぎない飲み物を混ぜるべきです。発汗が盛んなら、塩分やミネラルも失われますから、梅干しでお茶でも飲む、というような水分の取り方もまぜるべきだと思います。

知り合いが高校のテニス部の顧問をしていた時に、「もっともばてない飲み物」は何だろうと部員たちと部活しながら調べたら生理食塩水(薄い塩水)が一番ばてなかったという結果が出たそうです。温度とかは聞いていないので、またお聞きしたいと思っています。参考にしてください。

冷たいものはダメなんて決めつけてはおりません。冷たいものがおいしいのは確かです。だけど冷たいもの一辺倒になるのは止めよう。ちびちびにしよう。甘いもののがぶ飲みもやばいということを知っておこうというのが今日の呼びかけです。