発災後一カ月半&任侠ボランティア

【発災後一カ月半&任侠ボランティア】

熊本の球磨川の水害がどれぐらいひどかったのか、というのを現地を見てきた災害救援の専門家の人に電話で取材しました。(県またぎなのでお名前は伏せます)主な活動地は球磨川流域の坂本町です。

災害から一カ月半たって、さすがに人が住み続ける予定の家であれば、家財道具の運び出しやざくっとした泥だしなどは大半終わった地域が多そうだとのことです。(山奥とか道路が寸断されていたとか土石流がきつかった地域など、もちろんまだそこまでいけていないところは探せばあるだろうけれどもの条件付きで)

過疎の地域だと空き家が多く、そういうお住まいは家によって事情はいろいろ。住む予定がある、ない。持ち主が分かっている、連絡が取れないなどなど。そんなあたりは持ち越されています。

それにしても「あんなに幅広い川で、あんなに高くまで水が来た水害の現場は初めて見ました」と災害救援のベテランでも驚くほどだったそうです。

「10メートルは優に超える堤防のその高さよりも上まで水が来て、電柱の途中に物が引っかかっています。」

「川から離れた高いところの集落。そこの家屋が二階までやられている。絶対にここまで浸水するという想像ができない高さなのに」

「だから高齢者施設で多くの方が亡くなられたのを除けば、多数の方が集中して亡くなられた地域がなかったのは、避難と救助が相当にうまくいったんだと思った。水の高さを見たら人的な被害があの程度で収まったのが信じられないぐらい」

なんだそうです。

ただ、コロナ禍によって苦渋の選択で県外からの支援を原則お断りにしている現状では、第一段階が片付きかけている今、そのあと半年、一年と続いていく避難生活や生活再建への県外・全国各地からの経験豊富な団体の援助の働きが期待できないのが、本当に住民さんには大きなデメリットです。

避難所→仮設住宅の生活支援もあるし、その先には仮設から復興公営住宅などへの引っ越しボラなんてのもあります。家財も家も失った高齢者の方など、引っ越し一つとっても大変です。被災した自治体はほぼ初めての被災体験でも、災害ボランティアはどこも共通した問題が起こるのを体験しているので、多少なりとも手が打て、提案ができ、ケアしていくことができます。そのあたりが心配だと言われていました。テレビが報道しなくなっても決して復興したわけではなく、半年一年それ以上に生活再建には時間がかかります。

今年の4月だったかな、広島のボランティア仲間が昨年の西日本水害の広島の仮設住宅からの引っ越しの手伝いをしている様子がfacebookに上がっていました。「コロナで感染拡大をとめにゃーならんのは分かってるけど、身寄りなかったり手伝いおらんかったりする被災者の引っ越しは見捨ててはおかれんじゃろ」というようなことだったみたいです。

それがコミサポ広島という団体の小玉さんです。今は私がかかわるレスキューアシスト熊本と連繋して、八代市の坂本町の活動に入られています。初めて会ったのが5年前の常総の水害。鬼怒川が決壊して数日かかって町が水没してしまった災害でした。常総には東京講習会の前後にちょっと行って、ちょっと整体して帰るみたいな活動しかできていません。それで「何人か待ってますよ」というので公民館に行ったら、腰の痛みで公民館の前の低い舞台に上半身突っ伏してピクリとも動いてなかったのが小玉さん(笑)。以後多くの現場で団体として協働してきました。

まあ、この人の経歴がすごい。テレビでも放映された公開情報なので勝手に書きます。

災害ボランティアの人にも若い時はやんちゃで、というような人はけっこう多いけども小玉さんは本職。体中にお絵かきしてあるし、小指もない。映画「仁義なき戦い」の舞台になったそのままずばりの組にいて、たいていの悪いことはやった。理由は忘れましたがもうやめようと何とか組を抜けまして、その後に介護職へ。そこで難病で車いすの男性の介護を担当することになりました。そしてその方が亡くなられるまでの数年、ずっと付き添うことに。そしてその方の死。

不自由な身体で懸命に生きよう、最後の最後まで生き抜かれたその方との出会いで、自分の生き方ってなんだったんだ、、、と思っていたところに6年前の広島の水害が起こりました。そこで災害ボランティアを始めて、以後、一年の大半を被災地で過ごすようになった、と、こういう経歴の人です。

先週紹介した秀岳館高校のFacebookを見ると、「今日も災害救援の専門家の小玉さんにいろいろ教えていただき」とか「災害救援の専門の小玉さんにほめてもらいました」なんて書かれてます。下手すると塀の中にいたかもしれない人生を歩いていた人が、高校生たちにキラキラして目で「小玉さん!床下の泥だし終わりました!」「次は何したらいいですか」なんてやってるんかーと思うと、なんかにやけてきます。

任侠とは、義を重んじ、困っている人や苦しんでいる人を見たら助けるのに動くことと言います。小玉さん、任侠団体にいたときよりも、今の方がよほど任侠の道を歩いているのでした。(ちなみにお話しの冒頭のインタビューをした某団体の代表は元暴走族です)

ということで、新大阪健康道場・災害救援活動支援募金、こちらコミサポ広島さんに自由に使っていただきます。今回も二万円です。

 

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津田啓史 拝