人と細菌 まずは腸内の話から
【人と細菌 まずは腸内の話から】
皮ふの上の細菌を語る前に、体内と体外についてまず決着をつけておきましょう。たいそうな出だしだ(笑)。
胃袋や腸の中というのは、体の外か内かという問題です。(別に問題ではないけれども)口から飲み込むとか、鼻から吸い込むという行為から、じゃあどこに吸い込むのかという文脈だと身体の内側ということになりますから、なんとなく内部というような感じがしますが、これが勘違いです。口の中も胃も腸も実は身体の外側です。
人体をものすごく簡単にすると「立てた竹輪」のようなものです。竹輪の上の穴が口(ないし鼻の穴)で、下の穴が肛門です。
竹輪の筒状の上の方が口から食道、胃袋になり、下の方がホースのように細くなって折りたたまれて腸となります。人体という領土から考えると内側ですが、空間的には外と接しています。竹輪の上から食べ物を入れて、小さく消化していき、取り込み可能な状態まで細かくして、竹輪の下の方から人体に取り入れます。
ところが、この腸にたくさんの細菌が住み着いてます。その数なんと100兆個。人体のすべての細胞が60兆と言われていますから、細胞を一匹の微生物だと数えると、腸内細菌の方が数が多いんです。腸内にいるのが善玉菌と悪玉菌と日和見菌。細菌のあるものは消化しにくい繊維質を短鎖脂肪酸に転換してエネルギーに変えたり、病原菌が入ってきたときには、それが増殖しないように免疫の一部のように働いてくれたりします。
つまり、腸内という「皮ふの外側」におびただしい微生物・細菌を住まわせて、その中の一部に消化を助けてもらったり、免疫を担ってもらっているというのが人体なのです。
というので、人はヤクルトを飲んで「シロタ株だ!」とか「人には人の乳酸菌」といって新ビオフェルミンを飲んだりするのですね。これらは腸内環境をよくするという目的があって飲むわけです。腸内細菌もどんどん市民権を得て、その固まりは「腸内フローラ」なんて呼ばれたりします。不健康な人の腸内に、健康な人の便=腸内フローラですね、を移植すると体調がよくなるなんていう「輸血」ならぬ「輸便」みたいなことも試み始められているとか。
ということで、腸内環境が健康や免疫にとっても大事だということは市民権を得ていますが、その腸の中というのは私という身体の外なんですよ、ということをあらためて思い出しましょうよということです。
皮ふの細菌のお話しをやり始めていますが、私というかたまりの表面に住み着いているという意味では、腸内細菌も皮ふの上の細菌も同じでしょう、ということをまず前提として知っておいていただきたいということです。
セルフ整体・くらげ体操
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津田啓史 拝