土砂に埋まった家を掘り出す 九州水害球磨川
【土砂に埋まった家を掘り出す 九州水害球磨川】
水害と一口で言っても、土手の越水もあれば決壊もあります。また豪雨にともなった土砂災害もあります。
平野部だと主には水ですが、山間地になると土砂災害です。これはもう想像を超えます。山間地の集落というのは谷地の川沿いに多いです。その川に周りの山で溶け出した泥と土砂が流れ込んで家を飲み込みます。
土砂は流れが速ければ流れていきますが、流れが遅いところで堆積します。家の窓を突き破った土石流が家の中に堆積します。家の壁で勢いを止められた土石流が家の周りに堆積します。つまり、家が自ら土石流の勢いを止めることで、自らが土砂の中に埋まっていくのです。
そういう家ですが、もうずれてしまってとうてい住めない家もあれば、埋もれてはいるけれど、掘り出しさえすれば住める可能性のある家もあるのです。また住めはしないけれども、家の中に残されている大事なもの、大切なものだけでも取り出せればというお住まいもあります。
とうてい人力主体のボランティアセンター経由の一般的なボランティアの対象にはなりません。そういう特殊な災害救援の経験のある、重機ボランティアと縁があったときに家屋掘り出しボランティアが生まれます。
宮城県石巻市で津波に遭遇し、坂道を車をバックでぎりぎりで助かった萬代さんというボランティア仲間がいます。重機の腕を生かして、その後は災害救援に携わるようになり、この夏の水害ではオープンジャパンのメンバーとして球磨村で長期間活動しています。
今回ブログで紹介している写真は、萬代さんのFacebookの投稿からお借りしたものです。
まだこういうお宅もあるということです。そして、それを助けようとする人がいたから、表に出てきた(Facebookですけど)ということです。
なんというか、災害と一言でいい、復興と一言でいいますが、その被害状況や復活復興の仕方(あるいはあきらめ絶望もありますが)は、現場現場、一軒一軒で全然違うということですね。なんとなく響きのいい「改革すればなんとかなる幻想」とは対極にあります。ものすごく手間がかかり時間がかかります。
今はそれを、災害救援のNPOがかなり助けています。(それでも本当に必要とされているものからすればまだまだ一部だけです)公的な支援というものはほとんどありません。
そういう献身的な活動が世の中にあることを知らない人の方が多いので、熊本でも「訳の分からないよそ者は出ていけ」的なことをいうごくごく一部の地元団体もいて、残念な思いをした場面もあったと別の仲間に聞きました。
私だってふだんは九州のことを忘れていますが、たまたま知人に災害救援のメンバーが大量にいるので、その仲間からの情報で「今」を知ることができます。今回は「災害にあうってそういうことなんだ」ということを読まれるみなさんが感じていただければという投稿です。
昨日まで家族で楽しく暮らしていた家が一日の雨で土砂に埋まり、数カ月埋まったままで絶望。そして徐々に家が掘り出されたり、家の中の土砂が減っていったりしていく希望の写真、ぜひ見てみてください。
命あってこその整体だから、
まず防災を呼びかける整体師
津田啓史