習慣化は記録から
【習慣化は記録から】
金曜日、東住吉高校の芸能文化科の授業の4回目が終わりました。大阪市内の感染者がどんどん増えていますし、学内に陽性者が出たら数日間休講になりますから、来週はもしかしたらできないかもしれないねと、今日で最後のつもりでやりました。
さて「習慣化の技術」も生徒諸君に講義しているのだけれど、感想を読むと「小さく始めて大きく育てる作戦」というのは浸透しているようです。ところが大事な「記録する」の部分を押さえている子がいない。ここがみそです。
●いつまでもデブだと思うなよ
何年前かな「いつまでもデブだと思うなよ」という本で、オタク評論家か何かの人がレコードダイエットというのを実践した本がありました。ぶかぶかになったズボンを手で引っ張っているような写真の表紙だったと思います。
あらゆる食べ物のおよそのカロリーを覚えて、食べるたびにそのカロリーを紙に書き、一日の目標数値のカロリーを上回らないようにするというのが概略です。
それで、ルールはそうだと理解して、実際の行動というのはどういうものかというと、けっこうアバウトでした。それ専用のノートを作って書き出すというようなたいそうなものではありません。いまなら専用のアプリを作るみたいな話になるんでしょうね。実際の行為は、机に向かう時間の長いお仕事の人ですが、その辺にあるメモ用紙に書き散らかすという実にアバウトなものでした。
つまり立派な記録をつくるとダイエットに成功するわけではなく、カロリー数値を書くという行為が、食べすぎるという行動を抑制することにつながっているということです。
●行動直後の記録というルールが行動を変える
そのレコードダイエットが流行ったときに「それはいけるんちゃう?」と思って本まで買ったのは、そのころ、ひたすら行動を記録するという方法を思いついて生活の乱れを減らすことに成功していたという体験があったからです。それをカロリーに特化すればレコードダイエットになるということですね。
伸び悩んでいる自分を何とかしたくて、時間のある時にはひたすら改善計画を立てていました。理想の毎日のルーチンみたいなものです。ところが午前中いっぱいで立案した一日の行動計画が、立て終わった夕方以後、その行動計画どおりにいくかというと行かない。つまり半日かかって立てた行動計画が、立案が終わった瞬間に破綻するわけです。
自分の実際・現状からスタートせず、頭で身体をねじ伏せようとしてもうまくいかないのですね。それで計画よりも記録だということをやり始めて、計画よりもよほど生活改善が進みました。
ただひたすらやり終わったことを書くだけです。書くことに時間をかけるのも無駄なのですが、どうでもいいような喫煙とかトイレだとか、ぼけっとSNSを見るみたいなことも最初は書いていました。
大阪のおっさんの喜劇漫才などの会話で「ほんまか、ほんまにそうやと言うんやな、よーし分かった、それほどいうんやったらその通り書いてハンコ押せよ」というようなセリフがあります。つまり「書く」というと書類にする、それだけ重いということです。
だから食べたもののカロリーを思い浮かべるだけなら食べるという行為の抑制にならないのに、それを書くという手続きと一続きにしてしまうと押さえがきくのですね。
●メンタルに影響、仕事が進む
メンタル面の改善を望むある女性は、悪感情を抱いたときに「誰々に〇〇という悪感情を思った」と、たまたま過去形で書いていったら、客観視できて引きずられる度合いが減ったと言っていました。
京都のR大学の先生は、非常に多忙なセクションの方で「〇〇先生の愚痴を聞いた」というようなことまで書きながら日々を過ごしつつ、断片的にでもできることに着手していって記録していったら、気が付いたら超多忙な中で論文が二つ出来上がっていてびっくりしたと言われていました。
私は習慣化できてきたことが増えたので、スマホのメモ機能に習慣化できたことの記録と、上に書いたような行動記録の両方をまとめてつけることにしました。毎日やることはおよそ決まっています。だから前日のメモを翌日にコピペすると、そこに前日の記録ができます。その「昨日やったことのかたまり」を、「やり終わったことから上に置きなおす」というような形でやったこと記録になっていきます。それに沿って行動すると「習慣化しているいいこと」はそのまま続き、少し上をいきたいこと、改善したいことは書き加えることで少しずつですが改善できるようになりました。
といっても毎日成功しているわけではありません。そのメモをまめに見てちまちま移動し続けている時は生産的でいい日。メモに目がいかない日もあります。だれてます。週に何回かはそんな日があります。それも記録があるから、その程度ならできるというデータだとも言えます。成功しているといってもそんなもんです。でもやるのとやらないのとでは全然違うので続けています。
意志力、根性、精神力という形のないものに頼っていてもいつまでたっても改善しません。具体的な行動に落とす。文字という形にする。だから実態感が出てきて改善もできます。
習慣化の技術のキモは記録するということが大きいです。というので今日は記録するだけで、行動が変わっていく可能性を増やせるというお話しでした。
習慣化の技術
「記録なくして改善なし データ無くして成長なし」
【習慣化するステップ】
〇継続したいこと、習慣化したいことを選んだら、数値化して、最短時間、最小単位から始めて、一定のルールで増やしていき、毎日記録する。
〇続けていくうちに中身・内容・やり方を目的に合ったものに変えていく。
〇何か一つが継続・習慣化に成功したら少しずつ種目・項目を増やす
〇身体(整える・鍛える)→技(技術や知識)→他者とのかかわりの順に進めていくのがよさそう
どんなに素晴らしい身体調整法・健康法でも
継続しなければ本当の効果には出会えないから
習慣化の技術 超遅速願望実現法
を提唱する整体体育研究家
津田啓史(ひろふみ)