まともな情報発信を初めて見た思い 和歌山県の報告

【まともな情報発信を初めて見た思い 和歌山県の報告】

何から手をつけたらいいのか分からない時、どうやったら解決するか分からない時、そのことが正しいかどうかさえ分からない時、私はそういうことが時々あります。

新型コロナの対策にしてもそうです。これはおかしい、これはふに落ちない、これは違和感がある。そういうことを感じていても、実際問題どうやればいいのかと聞かれても自分では分からない。まことにもどかしい感じです。

先日、たまたま和歌山県知事のホームページでの県民へのメッセージを読んでみたら、そこに書いてあった新型コロナ対策があまりにまっとうなので、びっくりしてしまったのです。まっとうな提言というのは当たり前のようで、この一年半そういうのを見たことがなかったのでびっくりしたわけです。このブログにもちょこっと書いたこともありますが、ちゃんとデータを出して、それに基づいてこういう対策をしますからと説明しろよとずっと思っていました。人流とか三密とか、何をいつまで経っても同じこと言うとんねん。

知事からのメッセージ 令和3年8月18日

そう思っていたところに、まともなものを目にしました。すると、おかしいもののどこがどうおかしいのかというのがますます明確になり、ずいぶんとすっきりした気分になりました。ああ、世の中ちゃんとまともなことをやってくれる人がいるんだ。

和歌山県は、大阪府と隣接している府県の中で唯一20日現在二桁で感染者を抑え込んでいます。

また、現状では感染者を全員入院させることにも成功しています。はい、和歌山県民はコロナになっても本日現在入院できるのです。そんな当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなっているのが当たり前になってしまっていますから、とても貴重です。

知事さんからのメッセージは、8月1日から8月15日までの感染経路の最新の分析データが出たのでそれに基づいて、何をどんなふうに気をつけて欲しいかというのを逐一語っているものでした。

例えば、県外ナンバーの観光客が感染を蔓延させるようなイメージがあります。データで見るとほんの3%しかありません。県外の観光客からの感染は、ほとんどないということをちゃんとデータで語ります。

観光客からの感染は少ない一方で、県外に転出した人が帰省してきて感染しているケース23%、県外に帰省して感染し、帰ってくるケースは4%と観光客よりもよほど怖いというのをデータに基づいて語ります。

和歌山県では昨年の早い段階、国が38度以上の発熱が四日間続かなければPCR検査をしないと言っていた時期から知事さんは「今回は国に逆らいます」と言って積極的に検査をしていました。

今テレビで、コメンテーターをやる元弁護士で知事の経験者が、医療機関のごく一部しかコロナ治療に携わっていない。命令を出して強制的にやらせろと発言しているらしい。

和歌山県では、これまた昨年の早い段階で知事さんが「おかしいと思ったらすぐに近くのクリニックに行ってください」と表明していました。そして、検査して入院というのをこの一年半続けてきたのです。保健所を減らせという国の方針にも逆らってきたので、今も保健所はちゃんと機能しています。大阪は見事に減らしました。

だから、感染者陽性者が出たら周囲の人まで広めに検査ができています。なので検査に積極的でない県よりも陽性者は一見多めに出ますが、燃え広がるのを早めに止めているので、今までのところだと早めにまた陽性者数が減ります。

データに基づいて対策を決めて県民にお願いするということは、状況が変われば、またデータに基づいた方策に変わるということで、方針は変わったとしても納得感があります。

毎日のようにテレビに出て、イソジンでうがいしろとも言わないし、雨ガッパを集めてゴミにすることもないし、2020年の9月に大阪発のワクチンができるとブチ上げて、2021年の夏になってもまだできていない、みたいなこともありません。根拠なく「安心安全」と唱えることもありません。

和歌山県が現在は比較的うまくいっているとは言え、まだまだ先は分かりません。大都市で同じことは難しいかもしれません。和歌山県民の自虐ギャグは「和歌山県民、みんな合わせて世田谷区」(人口がほぼ同じ)ですから。人口規模が小さいのは確かです。

大人が子どもに対して多く使う叱責のフレーズは、なんといっても「勉強しなさい」でしょうね。それから「なんでそんなことやったの!」と理由を尋ねる体裁での叱責も多い。子どもに対してさんざん言うということは、それは大人がやっても極めて効果的な方法だからそう言うのではないでしょうか。

冒頭に「コロナ対策に不満があっても、自分ではどうしたらいいのか分からない、悶々とする」などと書きました。でも整理がつきました。上に書いたこと、つまり子どもを叱責する通りにやればよかったわけです。

まず勉強すればいい。つまり、国内であればうまくいっている都道府県があれば真似ればいい。失敗した都道府県があれば情報を共有すればいい。海外でうまくいっているケースを真似ればいい。できないのであれば、その原因を探してつぶせばいい。

次に「なんでそんなことやったの!」ですね。その方法を採用するにあたって採用したデータや根拠を明らかにしていく。和歌山県がやっている通りです。

たぶん和歌山県知事の20倍以上テレビに出ているけど、感染者を減らすことにはどうみても成功していない首長の方とかがおられる。

その方お一人がしゃべっていても、それが有効なのか的外れなのか分からない。コロナ対策に限って言えば、テレビ局は一人に好きなようにしゃべらせるのをやめましょう。

たとえば、和歌山県知事さんとか島根県知事さんとセットで出してもらいたい。そうすれば勢いだけで中身のない部分は化けの皮がはがれるし、私なんかいささか悪意を持って見てしまう部分の中で「ここはいいこと始めましたね」というのも認められるかもしれない。

普段のテレビならそんなこと言いませんよ。楽しく好きなような番組編成にすればいい。でも、今は人の生命と社会の今後が切実にかかわっている大災害みたいなものの最中ですからね。

正解は誰にも分からなくとも、よりまともなものに絞り込むぐらいのことは、テレビ局とかはその社会的な責任としてぜひやっていただきたいと思います。


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進化体操と和の体育

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