あたりまえということ その1

【あたりまえということ その1】

あらゆる生物は、その身体的特性によって生き方が決められる。蛙はぴょんぴょん身体性で人生を考えるし、蛇はくねくねと考えるわけです。

坂本九のヒット曲「上を向いて歩こう」という歌も、基本的に日本人が、前もしくは手元の下の方ばかり日ごろ見ているから、ヒットしたわけであります(たぶん)。

みんなが上を見ないから、上を見ようよという呼びかけが新鮮に響いたわけです。

坂本九がもしもヒラメだったら「上を向いて泳ごう」という形になったかと思いますが、よく考えるとヒラメの目は上に付いているので(正確に言うと左側ということになりますが)ヒラメにとっては何の斬新さもなく、全くヒットしなかっただろうと思います。

落ち込んだ人に対して「前を向いて歩いて行こうよ」と言うのは、人の目が前についているからこそ成り立つ慰めであります。多くの魚は平べったい体の側面に目がついていますから、体や活動に対して「前向きに生きようよ」と諭したとしても、意味不明になるわけでございます。

何が言いたいかというと、自分もしくは人間にとって当たり前のことでも、身体の形状・身体の特性が違えば全く当たり前にならないということを申し上げております。

ひらめにとっての世の中と、サバにとっての世の中と、人間にとっての世の中というもの、仮に同じ空間に存在していたとしても、全く違った見え方がするということです。

とにかく、自分にとって当たり前になっているものの多くは、自分にとって生まれ持ってそんなふうに備わっているものなので、なかなか疑問が持てない、見直しの対象にならないということを言っております。

それではここで国語の問題です。

あなたが100メートルを全力で走るために必要な力は何ですか。

(  )力

はい、ではみなさんも一度お考え下さい。

この問題の正解は明日のこの続きで。

 

生活整体研究家
進化体操と和の体育

津田啓史 拝