㊶初日の出ツアー

「初日の出ツアー」は、たしか高二ぐらいまで続き、受験の高三は休み。大学生になって一年目か二年目になると、集まれるメンバーも減っていたので、誰かが乗ってきた自動車で、かぶと山ではなく、六甲山の山頂まで行こうということになりました。

一台の車だったと思うので、4~5人だったのでしょうね。六甲山の山頂にとりつく山頂直下の茶屋あたりまでくると、同じようなことを考える人がたくさんいるのですね。山頂にある小さな駐車スペースはとっくに満車。

もちろんみなさん「山頂に上がって初日の出を見る」という車ばかりですから、全員がそのまま山頂直下の車道に路駐をして、徒歩で10分、山頂まで上がることになります。初日の出を見たあとに「事件?」は起こりました。

細かい情景は覚えていませんが、たぶん路上駐車は両側の車線で行われていて、上りも下りもずっと延々縦列駐車状態だったわけです。つまり車が走れるスペースはほぼない状態。

みなさん日の出以外には用はないので、初日の出をしばらく眺めたらほぼ一斉に下山します。しばらくしたら、端っこから順に動き出して、出発となるはずでした。

ところが、六甲山頂違法駐車場は、いつまでたってもまったく動く気配がありません。山道ですから、先の方が見通せるわけでもありません。

しばらくたつと、丸尾君が「様子見てくるわ」と言って歩いていきました。

それで、10分か15分ぐらいしたら、帰ってきて

「うん、もう少ししたら動くと思う」

と言います。

彼が様子を見に行くと、みなさん車まで帰ってきている人ばかりだったのが、端っこの一台にドライバーが帰ってきていない。どういう状態だったのかは聞き漏らしましたが、とにかくその一台が動かないことで、後に続く車が身動きできない元凶になっていた、という状況だったそうです。その車に腹を立てた人が多かったのか

「その車は、十円とかのコインで傷づけられて見るも無残」

だったそうです。ここまでなら誰でもやる行動。様子を見に行く。丸尾君はその後が違いました。

「でもまあ、順番に動かせば出られんこともなさそうやったんで、そのまま交通整理してきた。」

「はい、その車バックして、隙間ができたら上りは一台こちら。そこへ隙間が空いたら、見通しが効くから交互によければ上りも下りも動くよね(推定)」

というようなことをして、見通しがついたのでこちらに帰ってきたらしい。

私は心底感心してしまいました。その場で文句を言う人が千人いたとして、実際に様子を見に行く人は100人?その中で実際に交通整理をするのは一人(笑)

文句を言う人は多いけど、解決に動く人はほとんどいない。そして、「そうか、そういうときに交通整理をしたって別にいいんだ」ということが脳裏に刻まれたのでした。

あー、話はどんどん脱線してしまいますが、思い出したときに思い出した話を書き足します。