(54)ヨガに絞り込む
鍼灸学校を見送り、武道かヨガの指導員のどちらかということになると、その著作を多数読み込んで感化されていた沖先生のヨガの方に傾きました。
調べていくと実家から徒歩圏内のところに、沖先生の最古参の弟子筋である大槻先生のヨガ道場があり、しかも指導員の養成コースも併設されていました。鍼灸学校に比べれば期間も短いし、費用も安い。
大槻先生のヨガ道場は、都会におけるヨガの専門教場としてはもっとも古い時期に設立されたものだったようです。大槻先生が設立のために銀行に融資を頼みに行くと、いろいろと調べた銀行が「前例がありません」と融資を断られたぐらいだから、うちが都会の教場としては日本一早かったみたいだ、と言われていました。
沖ヨガを教えているところをいろいろと調べている中で、大槻先生のところの印象は実は悪かったのです。あまり行きたくないなと思っていたのです。濡れ衣ですよ。言いがかりです。悪い評判を事前に聞いたとかそんなことではありません。
それは、古い本の中に書かれている大槻先生の教場名が「大槻ヨガ美療サロン」という名前だったのです。ただただそのサロンの名称からの印象で、網タイツをはいたご婦人が美容体操に来るところ、というイメージしか浮かんでこなかったのでした。沖先生の三島の道場は「沖ヨガ修道場」というような名前がついていました。修道場にあこがれていた私には「美療サロン」はどうも、、という単に名前だけで敬遠していたということです。
帰省したおりに無料体験受講などに行ったりし、また名称も「大槻ヨガ本部教場」に変わっておりました。
無料体験のときにはいつくかのグループ分けがされます。自己流では中学生のころからヨガはやっていたので「まったく初めて」班には入らず「経験者」組に入りました。大槻先生のヨガは、基本的に週に一回ぐらいのペースで毎週参加して長く続ける人を対象に組み立てられていました。続ける人が飽きずにレベルアップしていけるようにと、基本的なポーズを繰り返すだけでなく、ダイナミックにアレンジされたオリジナルのプログラムをどんどんはさんであり、ついていくのがやっとでした。
仰向けから後ろにでんぐり返りするように逆さになって、足先を床に近づける「すきのポーズ」というのがあります。逆さまになって前屈をするポーズです。背骨の一個ずつの間にたっぷりと血液が送り込まれるような感触で、終わってくつろぎのポーズをとると、背骨の神経でしょうか、じんじんとしびれるような爽快感が背骨と背骨の間から湧いてきて、それこそ「ヨガってすごいなー」と感じる一助になっていたポーズです。