窮地からの脱出法?

「和の体育」、視野制限メガネでの身体能力向上についてのお話です。

そのメガネをかけると、正座で両手をふとももの上に置いた状態で、相手にその手首をつかんで押さえつけられたところから、するすると手を上げて相手を崩し倒してしまう武術技(合気道にある技です)がかなり簡単にできてしまう、という現象が起こります。合気上げと呼ばれることの多い技です。

通常なら十人が十人ともにっちもさっちも動けなくなるのが、視野制限をするとほぼ全員ができるようになります。

視野制限メガネをかけたときに、気が付いたところでは二つの現象が起こります。私の皮膚や骨が相手の握る力に、逆らおうとしないで受け入れてしまうということ。そして、次に相手の押さえつける力とは別にこちらに動けば相手の方が動いてしまうというコースがすでに感じ取れているということです。感じているコースに力まずに動いていくと、どんどん相手のバランスが変わり、崩れていきます。

つまり「どうやれば膠着した事態を変化させ抜けていけるかを身体がすでに知っている」という事態と出会うのです。頭で考えたらわからないし、まったく抜けられると思えないのに、視野制限で身体感覚優位な状態にすると、すでに改善解決解消の道筋が見えていることに驚くのです。

さて津田は忙しいです。

十月末から6週間高校生にも教える、たまたまですが11月は大阪以外に松山・東京・笠岡・名古屋と地方講習も固まってしまった(笑)。三か月講座も新しい期が始まる、出版も止まっている、動画も取りたい、テキストも作りたい、メルマガを書き、ホームページも新しい今の内容に合わせて変えたい、来年から中級コースや実践コースも作りたいけどどうやればいいか、経理も家族まかせなのをそろそろ自分でもある程度やれるようにする、などなど書ききれないほどてんこ盛りです。そしてあっという間に一日が過ぎ、どれもろくに進んだと思えない日々が続いていました。

つまり、手首をつかまれているがごとく、身動き取れない、どちらに動いても止められるというような状況は同じだなと思い、そして私の身体は手首をつかまれた時には対処できても、複数の懸案事項処理事項につかまれたときには、身動きが取れなくなるというのが納得いかないのです。技は私の心身の反映です。だったら、実生活にも同じ現象が起こらないとおかしい。

いい切り口で原稿を書け、テキストや教材がまとまり、先の講座のアイデアがわき、必要な準備を思いつく。それらが求めている人に届き、質のいい講習がいい評価を得る。そういうことが連続してするすると起こっていけばいいわけですが、進まない時というのはアイデアが湧かず、切り口を思い浮かばず、スマホなどに、からめとられたように非生産的な時間を取られる。

とくにスマホは吸引力が強く、スマホを見る姿勢で固められてしまう感覚までは気づきました。でも、意志で止めようとして止められるものではありません。身体がそこに行ってしまうのですから、代わりになる快適なものと置き変えないとまたいつの間にか引っ張られます。

道場ビルの非常階段に腰を下ろして休憩しつつプランニングをしていたら、突然前向きで気の利いたアイデアや原稿の中身がどんどん湧き出てくることに気づきました。

どうも膠着してアイデアも切り口も浮かばず、だらだらとスマホを眺めたり急ぎでない本を読んでしまったりする事態からの抜け方のヒントが見つかったようです(続きは次号)

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という一連は先日のメルマガで書いた話です。

冒頭に書いた「合気道の技が簡単にできる」は、私の大学合気道部やその後の整体武術修業時で何年も合気道や武術の稽古をしていても、その「メガネレベル」まではまったく行けなかったのです。そして視野を制限することで、視覚偏重な身体がよりバランスよく統合的になると、とたんにできたという話です。(もちろん本当にできられる方々からすればそんなの初歩だというレベルだとは思います。本当の達人の方々はほんとにすごいですから)

10年やってもできなかったレベルのことができるようになってみると、それだけなら「だから何なの」ということになりました。相手を転がすことができて、今の世の中でそれが何に活きるのかという次のテーマが浮上したのです。

視野制限で、今まで何年かかってもわずかしか変われなかったことがいきなり変わります。でもそれは、物差しを使ったらまっすぐな線が引けたというぐらいの話です。誰でも可能なことを難しくしていただけの話です。

どうぞ講座未体験の方は、自分の中にあってでも使っていなかった素晴らしいものをぐいぐい引き出す体験をしてください。

そして参加体験のある方は、そこから本当に価値のあるものに使っていってください。武術的な技で相手を自由に転がせればそれは快感ですが、今の時代使う機会などほぼ皆無です。

でも、例えば相手が自由についてきてくれる感覚を介護や看護にスライドさせることができれば、国内で何十万人?何百万人の方が一気に楽になることができます。

日本の武術や整体の中には、ほんとうに素晴らしいものが詰まっていたのですね。先人が残してくださっているものの分析が少しずつ進みつつあるというのが私の現状です。微力ながら全力でそれらを進めていきたいと思っています。

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ぜひこの機会を活かして、「え、私こんなことがすらすらできるの?」という境地と出会い、知らなかった自分の中の宝物に磨きをかけてください。