PCR検査数どんな推移しているのか

【PCR検査数どんな推移しているのか】

前回サウナのお話しをしました。

私は誰?ここはどこ?

冷たい水風呂に入る時に、どこが冷たさを感じているのかというのを厳密に確定して、そこを外した部位に意識を持っていくことで、冷たさを大げさに感じないで肩まですぐに入れるようになったというお話しです。書いた翌日にも再度サウナ(コロナでサウナが入れないところが多く、久しぶりです)に行って確かめました。

「なんとなくわかったつもり」ではなく、現状を正しく具体的に把握すると、自動的に改善策が示されることが多い、ということを言いたくて書きました。

対策は考えれば出てくるというものではなく、実態を調べることで導き出されるものだと思います。起死回生の奇策なんてものはそうそう凡人が思いつけるものではなく、また国全体に広げられるものでもありません。当たり前のことを当たり前のようにやるに尽きます。

PCR検査というものは、まれに陽性を見落とすし、決して少なくない確率で「実際には感染していない人でも検体のなにかに反応して陽性としてしまう」から、検査は無駄だとかそういう考え方があるそうです。でも私は10割でなくても「陽性者」を割り出すというデータなしには対策の立てようがないし、判断のしようがないと思います。

国民全員を検査するとかいうのは無駄だと思いますが、今後を考えるのに、「新型コロナはやっぱり怖い」のか「そうでもない」なのか「その中間だと思ってちょうどいい」なのかなど割り出すためにも「無症状の感染者は人にうつすのか、あまりうつさないのか」などなどデータがないと研究のしようがありません。

新型コロナの感染症の危険度レベルみたいなものを再検討するという政府方針が出ました。賛成です。ただし、きちんと調べてデータを出して根拠を説明して方針を出してきたというような過去の信用がまったくないので、最初から結論ありきやろ、と斜めに見てしまう私がいます。もしそんな背景があったら、それは見直しではなく、見直したふりといいます。一貫するものが必要です。

今年前半のPCR検査の陽性者(陽性者全員が感染者というわけではないのです)がばーっと伸びたのが4月前半です。4月10日ごろの一日700人がピークになっています。(週平均で何人かの推移 東洋経済オンラインWEBページで調べました)そのころと今と検査数が増えたのは知っていますが、どれぐらい増えたのか具体的な数字が分からなかったので調べました。

国全体の一日のPCR検査数を見ると

3月後半 2000件
4月   5000件
8月   20000件

3月後半と現在を比べると10倍、4月と比べて4倍です。さすがに3月は流行が始まったところなので、検査の体制も整っていなかったでしょう。それよりはましだと考えられる4月の比較を基本に見ていきます。

東京です。
3月末 200~300程度
4月  400件以下
8月  4,000で推移していて8月最後26,7日ごろにがくっと落ちて3,000

大阪です。
3月末 100以下
4月  400弱
8月  2,000に達したが以後ずーっと2,000で増えず、8月末ぎりぎりになって数百増えたかな

という感じです。

何が言いたいかというと、ニュースで陽性者数を比較して過去最高とか言っていますが、4月との比較で検査数そのものが国全体で4倍、大阪で5倍、東京で10倍に増えています。検査数がこれだけ違うものを同列に扱うというのは、とても不誠実だと思います。

ちなみに国全体の一日の陽性者数は4月のピークで600人ぐらいで、お盆前のピークは1400人にちょっと足りないぐらい。4月の600人というのは一日に5,000件検査しかしていない時の数字です。8月の1,400というのは一日20,000人検査して出てきた数字です。

春に20,000件とか30,000件とか検査してたら、4月のピークは600人どころか1,400人を超えて2,000人ぐらいいたのかもしれません。そうすると、8月のピークの1,400人というのは「第一波よりも少なかったですね」という数字になります。そういう素人が一つのサイト(東洋経済オンライン)を見るだけでわかることを、テレビがまったく触れずに深刻そうな顔で「過去最高の感染者が出ました」とかいうのが信じられない。気持ち悪いです。

京都大学のウイルス学の宮沢先生がこういうことをお話しされていました。昨日動画で見た「感染に気を付けてやるライブの中のシンポジウムみたいな席」での発言です。(記憶に沿った意訳)

『3月4月の専門家会議から出てきた方針というのは「2メートル離れて、マスクして、おうちにこもって出歩かない」でした。確かにそうすれば感染しません。でもこんなことは素人でも言える。専門家の言うことじゃない。専門家は、家を出て、人と会ってもこうすれば感染しないということを言う立場でしょう』と。

「あ、プロの意見を久しぶりに聞いた」と思いました。だから宮沢先生はファンも多いけどあっちこっちでたたかれるんだ。報道番組が感染者数の数だけ深刻そうに言うのが気持ち悪いのは、そこに報道のプロを感じないからなんですね。一見こう見えますが、実はこういうことなんですよ、と言え、素人が「なるほど」と思えるのがプロだと思っているので。

それでそのあと二日ほど考えて、世の中には二つのプロがいるんだなと思いました。専門の立場から一般の人を守ったり有益なものを提供していくために発言したり行動したりするプロ、専門家。もう一つは、自分の立場や仲間の立場や利権が傷つかないようにするためには、なりふり構わずなんでもできるある意味「その道のプロ」。

後の方のプロが幅を利かせているから気持ち悪いんだな。すいません、ボヤキが多くなりました。めんどくさくても調べましょう。確かめましょう。見る目、見極める力をつけましょう。

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津田啓史 拝