災害備蓄例で学ぶ習慣化の技術

【災害備蓄例で学ぶ習慣化の技術】

日曜日は、災害救援のご報告や「防災」という生命と暮らしを守る活動についての情報発信です。

台風10号思ったよりも小さい被害で済みましたが、私のかかわる災害救援レスキューアシストでは昨年から活動していた千葉県での拠点をある程度片付けて(今後は地元団体を断続的に通いで支援)、言い方は悪いのですが身軽になって次の災害に備えているという状態です。台風通過予想ルートの海水温は依然高いらしいし、そこでの台風は本州に来る可能性は大きいから、というようなことを頭に置いてそれらの情報を注視している、という感じです。

ということで、地震は日本中どこでも危険があるし、台風・水害はまだ油断できないということで、今日は身近な防災減災の活動のお話しです。ですが津田が語ると木曜日に書くはずの「習慣化の技術=習慣化できる自分の取り扱い方」が絡んできます。

「習慣化の技術」の基本ルールは「信じられないぐらい短い時間から、毎日少しずつ時間を伸ばし、かつそれを毎日記録する」というものです。それにのっとって「家庭の防災」「道場の防災」というような項目を作ってこれが続いています。

この後の文章では、実際の防災減災備蓄などの活動の記録を見ていただいた後、それを題材に「習慣化の技術=習慣化できる自分の取り扱い方」の原理みたいなものを解説します。

 

【津田の今週の備える活動】

《11日》
本棚を一段「備蓄だな」にしている。電池と水と備蓄用の大きな缶入りビスコが置いてある。見えるところにそういうものが置いてあることが大事という以上の理由はない。どうするか考えながら見ていたら阪神大震災の時を思い出した。この棚の「電池は落ちてきた本に埋もれて探すのが手間、電池があったことも忘れる可能性さえある」と予想できた。もちろんこれらの物資があるだけましだけど、置き場置き方ともによくない。

《12日》
電池をまとめてメッシュの袋に入れた。これで飛び散らない。でも入れながら気づいた。どれが古いかわからなくなり、使わないと液漏れしたりしてまとめてダメになる。ということでテープを貼ってとりあえず「2018年」「2019年」「2020年」の三つに分ける。定期的に新しいものを買って古いものから強制的に使う。携帯の電池式の充電器がちゃんと生きているか確かめるのに使えばいいな。

《13日》
習慣化の技術で何でも記録するということをやり始めたら、「つもり貯金」ができるようになった。アエラが出していた、災害被害者に聞いて編集した防災の本に「現金10万円を千円札で用意」というのがあった。この二つを結びつけることにした。この「つもり貯金」を千円札に変えて10万円目標にすることにした。
災害時は電気も止まる、レジも止まる。銀行も止まる。ペイペイとかとうぜん使えない。一万円札を持っていてもおつりがないかもしれない。千円なら使いやすいし、人にも分けやすい。おつりはいいですからとか言いやすい。

《14日》
チェックした電池が単三ばかりだったので単四を追加。充電やラジオは単三。ライトなどは単四が多いので両方いる。

《15日》
家のペットボトルを先日確認したら6本パックが3箱。18本36リットルあった。一人調理用も含めて3リットル欲しいと防災の本にはある。これでは家族3人二日分しかないことになる。水道が止まった時に給水車が来るが、水を汲みにいく容器がなくて困ったという話を思い出し、昔買った10リットルタンクを物置に探しにいく。二つあった。一つを洗って水を入れたところで時間切れ。

《16日》
二つ目のタンクにも水を入れ、水を入れた日付を記入。

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毎日時間を決めて少しだけやっているわけです。キッチンタイマーで測ります。ピピピピなったら途中でも基本的に止めます。これが継続のコツ、習慣化のためのカギです。

特にスポーツなどでは、「完成度の高いプログラム」「試合に使い動作」「きつい筋トレ」などを習慣化しようとします。できないからやるわけで、体力も気力も技術も当然足りない。必然的にうまくいかない、しんどい、楽しくない。これで凡人が続くわけがない。

おまけに完成度が高いプログラム、たとえば筋トレや体力強化のプログラムなど終わると「終わったー」という気がする。終わったことを翌日なんでわざわざまたやらなくっちゃいけないのという気になります。だから「習慣化の技術」では、「集中力を途切れさせるのが無理なぐらい短い時間」「体力を疲弊させるのが不可能な短時間」から始めて、完成度やレベルは後からついてくるからいいの、と、決められた時間を優先します。

こうするとその日意図したことはほぼ完成しません。終了しません。だから翌日その続きをするのが当たり前になります。上でいえば16日に二つのタンクのうち、一つに水を入れたところで時間切れになりました。17日には残りのタンクに水を入れないと気持ちが悪いのです。どうやって続けよう、頑張って続けようなんていう思考は消えています。不完全に終わるから、自然に続きが生まれて継続してしまうのです。

今、自宅では水についての在庫と情報が整理されてきました。水が完成度を上げると食料や電気の未完成度が浮き彫りになりつつあります。「習慣化の技術」は、わざと完成させないことで、止まらないようにするのです。そのあたりが大きなコツです。

津田啓史 拝