コロナ重症化を防ぐかもしれない『当たり前の対策』

【コロナ重症化を防ぐかもしれない『当たり前の対策』】

結論から申し上げると、その当たり前の対策というのは「マスク」です。マスクはコロナを予防するだけでなく重症化を防ぐ「かもしれない」という仮説をご紹介します。

これは感染症専門医の忽那賢志先生が紹介されているお話しですが、出典は「New England of Medicine」誌です。

そもそもどういう話かというと、感染症の動物実験での研究の業界では「その動物に曝露(触れさせる)ウイルスの量が多いほど、その動物は発症した際には重症化する」という話はそこそこ当たり前の話で、そんなに珍しい話・目新しいではないそうです。

新型コロナの人体実験はさすがにやれないでしょうが、インフルエンザだと過去にボランティアを募っての実験がありました。やはり曝露量が多いほど重症化し、治るまでの時間がかかったそうです。

実際に新型コロナでも、東京大学医学部の河岡先生らのグループがハムスターによる実験でも確かめました。

それで新型コロナでの実験はハムスターです。感染させたハムスターから感染していないハムスターに直接接触しない環境で、どう感染するかなどを調べたのですが、ハムスターにマスクをさせたのとさせていないのとを比較したのです。なんか漫画みたいですが事実です。

検査ハムスターは各15匹で

どちらもマスクない     10匹が感染 66.7%
感染していない方のみマスク 4匹が感染 33.3%
感染した方がマスク     2匹が感染 12.7%

という結果が出ました。

無防備だと7割が感染。予防マスクだと3割感染。「うつさないためマスク」をすると13%程度感染。感染した方がマスクをすると感染確率を下げるというのが顕著ですね。(両方マスクしたらどうなったという実験データはありませんでした)

そして肝心の重症化に関しての結果です。マスクをしていないハムスターの方が重症化し、マスクをしたハムスターの方が軽症で済んだという結果も出たのです。(数値的なものは書いてありませんでした)

マスクによって、「飛んでいくウイルス量」を減らし、つまり曝露量を減らすと重症化を防げたという仮説が成り立つのですね。でもこういう結果を改めて知ると、そりゃそうだろうなとも思います。これまで調べてきたように、皮ふでも粘膜でも血液中でも人間はあらゆる機会にさまざまな免疫の仕組みでウイルスから身体を守ろうとしています。前に書いたように、皮ふ上の善玉菌のフローラさえ、結果として感染症対策になっているのです。使えるものは何でも使えなのです。

この実験の話を読んで「飛んでくる火の粉」と「消火する免疫消防団」というイメージが湧きました。

ちょっとした火の粉ならもうそのへんにいる人が足で踏んで消してしまう。ところが大量の火の粉が飛んで来たら、一斉にいろんなところに火が付く。消す速度よりも延焼する速度の方が早くなる。そうするとどんどん燃え広がってしまう。最終的に遠い消防署からも応援が来て消火しますが、それまでに延焼家屋も多くなるし、消火までに時間がかかります。それだけ被害面積が広くなれば消火に時間がかかり、被害が甚大になるのも自然な話です。

そりゃ火の粉が少なければ、感染しても手近な免疫で処理できりゃ軽症で済むだろうなと思います。人と近い時はマウスシールドでなくマスクにしようと思いました。

あくまでもハムスターでの実験で人間でのデータではありませんが、街中マスク姿があふれる日本の景色が、重症化することを減らせていたとしたら、それはそれで少し報われた気持ちにもなりますね。厳密に調べたら、あるタイプのマスクはウイルスを通すとかいろいろとケチは付けられるでしょうが、前回書いた「百分の一作戦」で「薄めれば感染可能性を下げられる」という作戦の裏付けにもなるデータだとおもいます。

【おまけ】
9月22日の結びに、「こうやって感染のしくみの基本を見直したら、見落とししていたことに気づきました」と書いたことの続きです。

新型コロナ ダイナマイトの導火線に火を近づけないこと

電車の中のつり手や手すりパイプなどは、できるだけ触れないようにしていますが、もしそこにたっぷりとウイルスがついていたら手に曝露するわけです。だからそれを持ち込まないように屋内室内に入る前に手を消毒する。

ところが、駅についてそのままトイレにいくことがあります。トイレ後の手洗いを念入りにすることで「手洗い一回カウント!」と思っていましたが、男性が小用を足すには、粘膜でできた部分をさわることに気づきました。

ということは、シビアに考えれば小用を済ます前にこそ手洗いすることの方が感染予防の観点からは正しいのではないか?いや、鼻やのどの粘膜を通らないと肺にはいかないから大丈夫、ということもあるかもしれませんが。

でも見落としていたのは確かなので書いておきます。あくまでも手についたという可能性がある条件の場合というお話しですが。

 

生活整体研究家

津田啓史 拝