認知症の回復のメカニズムを探る(1)

皮下チューニングから身体を考える【認知症の回復のメカニズムを探る(1)】

認知症回復の例を前回、動画でご紹介しましたがご覧になられましたか?

皮下チューニングで母が認知症から大幅に復活

高齢者というのは半年一年ぶりに会うと「老けたなー」「動けなくなったなー」なんてことが普通ですが「若返ったなー」「別人やなー」ということはそうそうあり得ることではないと思います。

【動画】83歳で、言葉も出ない、首も上がらなかった認知症のお母さんが、皮下チューニングで85歳の今、背筋も伸びて冗談も言うように

動画では受け答えの様子までは分かりませんが、軽口に冗談で返すというような軽妙な意思の疎通ができるようになっているわけです。そして歩行も速くなっている。つまり知的活動と身体運動の両方が機能回復していると言えるのです。

人間の運動というのは、運動をするぞという意志が先にあるのではありません。何らかの刺激、情報を受け取って、その刺激や情報に対して反射反応対応するというのがベースにある、というのが和の体育―進化体操―皮下チューニングなどに共通するベースの考え方です。情報の取り方や種類を変えることで、引き出される反射・反応・動作・運動・行動を変えていけるということです。

習慣化の技術も、意志・精神力・根性で自分の行動を規制しようというのではなく、弱い刺激(負荷)から赤ちゃんが成長していくように習慣化を育てていく。五感がフォーカスする対象を、苦痛の我慢ではなく別のものにふっと向けるような工夫を張り巡らす方法です。

昭和に福永洋一さんという名騎手がいました。もう引退されています。息子さんが福永祐一騎手です。大活躍です。福永洋一騎手は、実は落馬で頭を打ち、舌の三分の二を噛み切るという大けがをして、そのまま現役を離れました。

頭を強く打ち、動くことも反応することもできないぐらいの重症だったのが、数年で立って歩く程度まで驚異の回復をされました。その時のリハビリというのがドーマン博士が作られたドーマン法というものです。考え方は進化体操と似ています。人が赤ちゃんから大人になる成長の動きを、他者の力を借りてやり直すという方法です。

赤ちゃんが腹ばいになる。上体を持ち上げようとする。ハイハイをする。こういう動作を、4~5人の大人がつきっきりで助けます。まったく動けない人なので、それぐらいの人数で朝から晩までやるそうです。

福永さんではなく、子どもだったかな、一度NHKか何かの番組でドーマン法が取り上げられたのを見たことがあります。斜めの台に腹ばいになったのを数人の人が囲んでそれぞれに手足を持ち、ほいほいとトカゲが歩くような動きをやっていました。そこにはほとんど自力は見られず、圧倒的に周りの人の力でやっていました。だからたくさんの人数が必要で、かつ一日中やって初めて少しずつ効果が出るという大変なものなのだなという印象を持ちました。

テレビの中の解説で、そうやってトカゲの動きをするとその動きに対応する脳の部分が少しずつ発達するとか機能回復するとか、そういう説明がついていたと思います。なので福永洋一さんも、動くこともしゃべることも人の問いかけへの反応も芳しくなかったのが、立てるようになり、歩けるようになり、しゃべれるようになり、歌えるようになったそうです。

ものすごく乱暴なまとめですが「動けない、反応しない」というと見方を変えれば認知症とも同じようなものです。だから、認知症の方にドーマン法をやったら、運動機能も認知機能も回復してもおかしくない。そういう可能性はあると思います。ただし今の介護業界で、一日中一人の人に4~5人がつきっきりで運動介助するというのは完全に不可能です。

ではどうすればいいのでしょうか?

 

 

家族整体普及推進
習慣化の技術 超遅速願望実現法提唱
くらげ体操と皮下チューニング

津田啓史(ひろふみ)