減っても喜べない、増えても安心できる PCR陽性者数の増減の裏側
新大阪健康道場は、全国的新規陽性者数が増えている状況、特に大都市部での医療体制がひっ迫していることなどの状況を受けて、当面はいつまでという期限を定めないで休業ということにさせていただいています。
*******************************
「減っても喜べない、増えても安心できる PCR陽性者数の増減の裏側」
医師・日本女医会理事・関西学院大学災害復興制度研究所研究員 青木正美さんのツイッターより引用
「外来患者さんの反応に少し驚く。ニュースでは東京の感染者数が1500人で高値安定、徐々におさまる気配と。違います!東京の保健所は感染まん延のため濃厚接触者の検査を諦め、高齢者施設などを重点的にしたので昨年末までと検査対象が変わったのです!すると患者さんたち、のけぞって驚くのでした。」
東京も神奈川も濃厚接触者の追跡をあきらめたみたいです。
さて人口10万人当たりの新型コロナ感染者数を比較してみますと、東京都の人口10万人当たりの感染者数は60.48人と断トツで多く、大阪は34.88人と半分強です。
ところがその東京よりも、死者数が多いのが東京都よりも人口の少ない大阪府です。人口は東京が1400万人に対して大阪府は880万人です。東京都の死者数が779人なのに対して、大阪府の死者数が826人です。全国一位の自治体は大阪府なのです。(先週末頃の数字です)
東京都の方が感染者総数も10万人当たりの感染者数も高いのですが、大阪の死亡者の方が多い。同じウイルスの感染症ですから死亡率というのは極端にかわるはずがありません。
仮に死亡率が1%で100人にお一方が亡くなられる感染症だったら、お亡くなりになった方が100人おられたら、推定する感染者は1万人ということになります。
そうすると、大阪府は実は検査数が足りていないのではないかという疑問がわきます。そうすると大阪の先週あたりの週平均500人ぐらいの一日の感染者数は、本当は700人とか800人ぐらいいるのかもしれないと疑いたくなります。
PCR陽性者数が少なくても喜べないよ、濃厚接触者を追いかけなくなったからね、東京や神奈川は、という事例です。そして大阪も推定、濃厚接触者をきちんと追いかけ切れていません。それは和歌山県知事さんからも、大阪にちゃんと追いかけてくださいと要望が出されましたが、大阪府は、、、そんな嘆きがHPに上がっていました。大阪府の南部の病院は手が足りず、県境を越えて和歌山の病院に救急車で患者が運ばれてきますから。
その和歌山県のお話しです。感染者は週平均で15人から20人以下で推移します。一度高い数字が出てもすぐに下がります。
人口も感染人数も少ないからできるとも言えますが、和歌山県では県のHPに感染者の内訳が出ます。15人いたら7人が新規の感染者で、残りの8人は濃厚接触者を追跡して検査した結果陽性だというような内訳です。
和歌山は濃厚接触者の基準がいい意味であまり高くない。濃厚でなくても、接触があればどんどん検査をするというような方針だということは昨年の3月ぐらいから一貫しています。
なので、新規感染者のうち常に半数前後は濃厚接触者の追跡して検査した数が含まれます。見かけの感染者数は増えますが、それは次の感染を抑え込むためにちゃんと追跡して検査できているという数字です。だから増加傾向が長期続きません。
なぜ和歌山がそういうことできたのか、という背景を地元の銀行マンの人からの情報として聞きました。和歌山県は保健所を減らさなかったというのがその話です。
国の方針として、公立病院とか病床数とか保健所とかを減らす政策がとられていました。大阪府はそれに乗っかり、さらに党の方針として「公務員は無駄だから減らす」という旗印でどんどん減らしてきました。これは「平時」であれば正しいことだったのかもしれません。
ところが和歌山は逆らいました。なぜかというと、南海トラフ巨大地震をリアルに想定していたからです。いざという時には医療の支援がものすごく重要になります。医療を公的に支えるのは保健所です。だから保健所はつぶさないで残そうとしました。有事を想定して残したのです。その結果が、今のコロナという「有事」の対策充実につながっていたということです。
公務員を減らして民間でもやれることは、どんどん民間に売却してしまう、という考え方でこの国はここ数十年きました。いわゆる小泉改革以来の方向性です。
でも有事になると、それでは対応しきれなくなるということが明らかになりました。
そうすると、これからまた「有事に備えた手厚い政府」に戻すのか「平時しか成り立たない最小限の政府」で行くのかということになります。そしてそうなるとやはり「財源は有限だ」「政府の借金をこれ以上増やすのか」という「お金の問題」になります。なので明日以後はそちら方面のお話しにつなげて書いていきます。
今日は、感染者数が大きくなっても、そこには「ちゃんと濃厚接触者、接触者を追跡したからこそ、感染者がちゃんとあぶりだせている」という安心感をともなう検査陽性者数の増加もあれば、濃厚接触者の追跡をあきらめたから出てくる検査陽性者数の減少もある、ということです。
誰かの言説をうのみにしないで、自分でも調べてみる、考えてみる。それが楽しめる心身を作ること。それも整体です。
生活整体研究家
津田啓史