なぜ〇〇は起こらなかったんだろう

【なぜ〇〇は起こらなかったんだろう】

5~6年前ごろかな、武道家で思想家の内田 樹先生の著作をよく読んでいました。(もっと前かもしれない)

読み進めながら、何かの事象を分析していくときに、「いかにもそれっぽいこと」を書くのではなく、本当に頭のいい人というのはこんなふうに物事を捉えることができるのかと感心をしておりました。

そんな中の一つ。私たちはよく「どうやればもっとうまくやれるだろう」と考えて、結局はうまくいかないことが長きにわたって繰り返されます。(当社比)

内田 樹先生はそんな時「〇〇という事態は、どうして起こらなかったのだろう」という切り口で捉え直すことを勧めておられました。

これだけだと、何のことか分からないかもしれませんね。ぜひ聞いてください。

例えば、私の本業の整体をテーマにしましょうか。膨大な試行錯誤を道場に来られる皆さんと続けてきたおかげで、かなりユニークで効果的な整体や、誰がやっても簡単に効果が出る皮ふの整体・皮下チューニング等を作り出すことができました。

とてもユニークな切り口の整体だったり、とてもとっつきやすい整体を作ることには成功しているわけですが、私自身は、整体の名人になったというわけではありません。結構いい線を行っているかもしれませんが、できないこと、分からないことだらけで、まったく満足のいくレベルには行っておりません。

というふうに現状を認識したとします。

そこからどうしていくかということですね。一般的な取り組み方として考えたら「どうやれば整体が上達できるか」を考えて実行する、ということで異論は出ないと思います。

ここに内田方式を当てはめるとどうなるかというと「なぜ津田が整体の名人になるという事態が起こらなかったか」と設問を立てることから始めるということになります。

皆さんも実際に何か一つ立ててみたらどうですか。なぜ私が○○に成功するという事態が起こらなかったのか、という角度で考えてみるということです。

内田式で考えていくと、「自分が実際に過去やっていた行動の検証をする」というのが非常に色濃くなるのです。

まぁ私にだって細かい整体の技術の中では、他人様よりも少々素質才能がある部分もあります。そこの部分をもっと掘り下げて大量にやっていたらよかったかもしれないとか。

苦手だからとほぼ諦めて、細かい椎骨の転移(わかりやすく言えば歪みのようなもの)の観察を、覚悟を決めて気長にやっていれば、もっと違った角度で身体の状態が読めるようになっていたかもしれない。

といった具合です。なんて言ったらいいんでしょう、もしかしたらできていたかもしれないにもかかわらず、それを実現に持ち込めなかった自分の実際の行動というものを見直すようになるのです。

「どうやったら整体が上手くなるか」という設問だけだと、ここまでシビアに自分の過去の行動を捉え直すことが出て来ません。目新しいことに短期間ちょっと手を出して、早々に諦めてしまうというような過去のパターンを繰り返してお茶を濁すことになりそうです。

こんなことを付け加える必要はないかもしれませんが、「なぜうまくいくという事態が起こらなかったのか」ということを考える場合、自分以外の誰かのせいだ、何かのせいだ、という角度で捉えてしまうと、全く使い物になりません。

例えば、こんなに世間の景気が悪いんだから、うまくいくはずがなかったという見方では、これからの自分の進んでいく方向の設計やプランにはプラス要素が加わりません。

世の中の景気の影響を受けたということが確かに大きい要素だったとしたら「なぜ私は、その景気の波を読んで上手に乗って行きうまくいった結果を手にすることができなかったのか」というふうに、あくまでも自分の行動を本位に捉え直す方法だと解釈されればいいと思います。

ということで、私もまだ当分は続きそうな休業期間中に、過去に色々と立てた目標がどうやったら達成できるかというのではなく、過去から色々と立ててきた目標が、ことごとく達成できているという状況がなぜ起こらなかったか捉え直して、地道に行動の置き換えを図ってみようと思います。

という話がどこから来たかというと「過去の感染は、たいてい2カ月ほどで収束して、波になっているのはなぜか」という疑問からの脱線でした。

私も私のお仕事の範囲の中で、平たく言えば「よりよいサービスが提供できるように」創意工夫継続改善していきますので、政府行政関係各位は、みなさんのお仕事の範囲の中でぜひ

〇なぜろくな対策もできていないにもかかわらず、過去には欧米諸外国なみの感染爆発が起こらなかったのか

を調査検討していただきたいと思います。ほんと冗談でなく、今年の春までの「感染が拡大したといっても、諸外国に比べたら一桁少なかった」という現象をきちんと調べていたら、一波来るたびに、本当に何と何にどれぐらい気を付ければ有効なのかが、もっと明らかになっていたと思うのです。


生活整体研究家
進化体操と和の体育

津田啓史 拝

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