⑫ヨガの取り組み方は珍しかったのだけど

ヨガが広がるまで「ヨガのような進め方の体操」というのはなかったのです。(筆者が知る限りでは)

呼吸を深ーくゆっくりとして、さっさと形を取ればいいようなものなのに、ゆっくりゆっくり動かしていき、完成形でも数十秒から数分静止する。それだけでなく、を解除した後は横たわって数分最大限にリラックスする。緊張と緩和がセットになっている。

こういう「運び方」そのものが極めて珍しかったのです。

ヨガを表現するのに、日本人の知っている感覚を取り入れて「ヨガとは動禅である」という解釈説明をされる先生もおられました。良い得て妙ですね。

私の知っていた柔軟体操は、はずみ反動をつけて広げようとしたり、後ろからペアの人が力任せにぐいぐい押して前は悲鳴を上げる、というような単調なものでした。それすら日本伝統のものかといえば、はなはだ怪しいです。

例えば、日本の武術の達人はほんとに力まなかったようですから、力みや頑張り、筋肉への過剰な負荷みたいなものがあるのを前提にして、武術の稽古の前にけがしないように「準備体操」みたいなことでほぐすなんてことはやらなかったようなのです。

さらに言えば、日本人の日常着は「着物」で、柔軟体操によく出てくる「開脚」なんて日常にも労働にも全く関係ありません。着物を着てやりたくなる動きではないですね。さらに、武芸の修練という形で運動習慣があったと思われる武士は、着物の上にさらに袴です。だから、ヨガっぽい動きなんていうのは生まれる素地がなかったでしょうね。

明治の軍隊の洋式訓練あたりから、体操のようなものが入ってきたと考えられます。さて、柔軟体操が登場したタイミングはどのあたりなのでしょう。ここは浅学にしてわかりません。

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