㉑ヨガの処方箋

それでもやはり心惹かれたのは、野口晴哉先生が治療の名人だった、というような記述です。わずか12歳で関東大震災の焼け跡で、不衛生な環境で下痢が続出するなかで、野口少年が手を当てた人はみなけろっとよくなり、彼が「あ、この人助からないから」といった人はみな亡くなっていった。

東洋体育のムック本の何冊かで出会った野口晴哉という方は、背骨で相手の状態がことごとく読めるというのですね。今の病状、病歴、どれぐらいよくなったか、今度どうなるのか。あるいはその人の気質や性格。これを「体癖」という形で分類して人間学とされている。

まあ、興奮したのです。というのはヨガで感じていたジレンマがことごとく解決しそうだったからです。繰り返しますが、ヨガで結果が出ないからヨガに不満があったわけではないのです。

生活総合ヨガの合宿では、およそ想像できる範囲を数倍も越えて体調が良くなる。世の中に治療の名人は数々あれど、ここまで人から元気を引き出せるトレーニングブログラム、生活プログラムはないだろうと深く納得してヨガの世界に身を投じたのです。

ヨガは決して医療行為ではないのですが、例えとして聞いてください。受講されるみなさんが患者だとしたら、ヨガのアサナ(ポーズ)や呼吸法というのは薬や点滴にあたります。

そうすると、その処方する薬の種類や適量というものを医師は本来把握してそれこそ「さじ加減」しなければいけない。ですが基本的にカリキュラムは師匠が作られ、弟子の私たちは師匠の意図をくみ取って、その効果が最大限に発揮されるように教室で努力するという枠組みで活動していました。

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