悪い姿勢はいい姿勢
【悪い姿勢はいい姿勢】
もともと「整体」というのは手技による身体調整法を指した言葉ではありませんでした。整体というのは、文字通り「整った身体」という「状態」を指す言葉で、やや難しい言い方をすると「みぞおちが虚で丹田が実」という身体の状態をいいます。
この虚実の状態になると、人間の生命体としてのバランスが最も取れていると、だからその状態を「整体だ」というふうに言われていました。つまり整体というのは「整体を受ける」という文脈で使われるものではなくて、「整体になった」「この人の身体は不整体だ」というような使われ方をする言葉だったのです。
そして、「整体」という、最も生命力が旺盛で活発で安定して働くような身体の状態に戻すために手技でお手伝いしようとする行為を「整体操法個人指導」と野口整体の世界では呼んでいました。その頭文字の二文字だけが手技による身体調整法として、世間に広がっていったということのようです。
つまり「整体(ベストに整った身体)」を目指していく野口整体では、その状態に戻すことであなたが生まれ持ってきた様々な能力や機能が滞りなく発揮されるようにしようとしていたわけです。
私は、30歳台半ばで野口整体を学び、「これだ!」と確信して、その目指すところを一生追いかけていこうとして今に至るわけですが、もちろん、その「生まれ持っている身体の様々な機能や特性をすらすらと発揮していける身体」を目指して、進化体操を考案し、和の体育を提唱して現在に至ります。
ですから、昨日メールマガジンで簡単に紹介した「胸を抱くように思いっきり猫背にして、呼吸が深くなるところまで変形して、自然にほどけてくるのを待つ」という体操も、もちろんその人体の持っている特性に沿って組み立てたものです。
その体操の実技解説の動画も撮れました!で明日以降に公開しますが、その体操をやるときの一番重要なポイントを少し説明しておきます。
提案しているやり方は、見た目は悪い姿勢ですが、あなたが最も深い呼吸ができる体勢をとることで、その悪い姿勢の奥にある身体の調整欲求は満たされていきます。充電されます。満充電になると、開く姿勢に見える変形姿勢はほどけていき、普通に胸を張るのが楽な身体に戻せます。ついでに首や肩や胸や背中もぐにゃぐにゃになっていきます。
というこの体操の一番のポイントは、変形から少しずつ体が戻ってくるところです。ここが整体を学ぶまで、そんな働きが身体にあるなんて思っても見なかったところです。最初は不思議でしたが、ここの部分がとらえられたら「生活整体」の可能性をぐっと引き上げてくれるキモになる部分ですね。(つづく)
生活整体研究家
進化体操と和の体育
津田啓史 拝