数字で見る新型コロナ、大まかなことだけでもおさえておきましょう その2

【数字で見る新型コロナ、大まかなことだけでもおさえておきましょう その2】


月曜日に、新型コロナ第四波と第五波を比べると「感染者4倍、重症者5割り増し、死者半分(強)ですが上昇中」とまとめました。今日は、そこに「高齢者がワクチンでどの程度助かったか」という数字も加えて計算してみました。

感染者における65歳以上の高齢者の割合は、大きい時には25%。ワクチン接種後には3%台まで下がったというデータを見ました。ということは、第五波の感染者数は、ワクチンの効果がなければざくっと20%以上ぐらい上積みされていたという計算になります。

ということは第五波のピークは25,868人ですから、それよりも20%多ければ一日30,000人の感染者の可能性があったということです。つまり第四波の感染者ピーク6,000人から見れば5倍です。

ワクチンの効果が全くなかったとしたら、第五波の重症者や死者というのは、第四波の数字を単純に5倍した数字を「高齢者加算」として比較してみました。ワクチンがまったく普及していなかったら、この数字の前後になっていた可能性があるということですね。単純に足して比較するとこうなります。

        
第四波第五波高齢者加算
感染者 6,00025,0003,000
重症者 1,4002,1007,000
死者 100弱60強400


ピーク時には毎日感染者が30,000人出て、重症者が7,000人、死者が一日400人。これがワクチンがなかった時の8月後半の日本だったかもしれないわけですね。感染者の数だけ見て「増えている増えてる」と騒ぐのは、バランスが悪い話です。

と、ここまではかなりワクチンを持ち上げることを書きました。(ワクチンが安全だったらという前提です)

だから「ワクチンがなかったら」と比べれば、あってよかったという数字が出ているのは確かです。ですが、私が菅総理の発言に賛同できないのは「ワクチンが(唯一の)決め手だ」という言い方をしていることです。

つまり菅さんの見通しであれば

今の感染者数自然減?の波に、ワクチン接種が追いついてきて新規の感染者が少なくなり、秋から冬にかけて第六波が来ても、感染者も重症者も死亡者も軒並み減って、かなりコロナ前の生活にそのまま近づいていけるという見方です。

つまり冬に向かって元の生活に近づいていくという思いっきり楽観的な見方です。ではワクチン先進国ではどうなっているでしょうか。イスラエルがワクチンで感染者、死者減に大成功した国として有名でした。

先進国の中でもトップレベルに早くワクチン接種していったイスラエルは、今年の年始には、ピーク時には一日8,000人レベルの感染者が出ていたのが、春から夏の入り口にかけて限りなく減り、たしか10人単位まで減ったんじゃなかったかな。

ちなみにイスラエルという国は人口900万人ですから大阪府ぐらいの規模だと考えたら分かりやすいです。(ちなみにわが和歌山県の10倍です)その大阪府レベルの人口規模のイスラエルですが、ワクチン接種の結果、新規の感染者が大幅に減ったもので、マスクを外して従来の経済活動を再開しました。

そしたら7月末ぐらいからまた感染者が増え始めて、今では一日10,000人レベルです。死者は一日36人ぐらいまで上がってきました。

イスラエルの年始の大きな波の時の死者数は一日60人ぐらいでした。死者数が新規感染者の波よりは遅れるのはどこでも同じでしょうから、死者の一日36人という数字はまだ増えるだろうと考えておかしくないと思いますが、今のところの死者数は、ワクチン接種後の方が少なめなようだとは言えます。

そういうデータがイスラエルで出ていますので、ワクチンは日本では今のところ、高齢者をかなり守ったと言えるのですが、今後も大丈夫かと言えば、イスラエルの例などを見る限りは、楽観視はできないね、というのがデータから見た先行き予想です。だからイスラエルはワクチンの3回目の接種を始めたそうです。

ワクチンは「決め手」という菅さんに反感を感じるのは「他はどうすんねん」「あかんかったらどうすんねん」と思うからです。「この夏の有効な時間稼ぎだった」という評価ぐらいが妥当ではないでしょうか。ワクチンで時間稼ぎできている間に、少しでも必要な対策を進めていく。

(明日に続きます)


生活整体研究家
進化体操と和の体育

津田啓史 拝


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