見せかけの健康
新大阪健康道場は、大阪府の緊急事態宣言を受けて休業中です。大阪府知事は、週明けの人数を見て、緊急事態宣言解除の可能性も述べていますね。解除は一つの目安にします。解除=再開決定ではありませんので、ご容赦ください。
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「見せかけの健康 」
昨年のゴールデンウイークの休業期間中に、どうしてもの用事があって和歌山から新大阪の道場まで出かけました。がらすきの南海電車と大阪の地下鉄。全然ない駅の中の観光ポスター。関西空港も開店休業。リアルに「人がいない街」を体験して、これは個人から大企業までどれだけやばいことになるんだろうと実感しました。
そして、日本史か世界史で習ったような気がする「世界大恐慌」というようなものが再現されるのだろうな、と思い、えもいえぬ不安を覚えました。そして、自分は株はやりませんが、株式市場というものが大幅に下落して、大混乱というような新聞の見出しやニュースがいつ来てしまうのかなと思っていたのです。すると、なんとびっくり。株は一時的に少し下がっただけで今や、「過去最高値!」みたいな数字さえ上がってくるではありませんか。
株式を国が買い支えてうんぬん、お金持ちだけを優遇してけしからん、というような話には今は進みません。もともとの株式投資で利益を得るという仕組みの方の話です。株で何千万、何億という利益を上げる人は一流のビジネスパーソンで、優れた企業ということになっている世の中です。
でも前に考えたことがあります。「すべての世の中の人がやってもいいことはいいこと。すべての世の中の人がやったら世の中がもたなくなることは悪いこと」シンプルにこう考えたらいいのではないかという考え方です。
一般には株式投資をする人が多い方が市場で動く金額は大きくなりますから、歓迎される話です。ところが、世界中の人が株式投資で得られる利益で生活をするんだと決意して、今やっている仕事を止めて株式投資で生きていこうとするとどうなるか?
その瞬間に株式市場というものは破綻します。だって株の向こうにあるはずの企業、そしてその企業を支える各種産業が消えてしまうからです。経済というものが消えてしまいます。経済という言葉を当てはめる以前の「生きていくための暮らし」というものが消えてしまいます。
ということはここでもやはりお金・貨幣と同様に、株式市場という巨大なお金のうねりに力を与えているのも、額に汗して働く人が担っている供給能力の方だということが分かります。
にもかかわらず、つまり供給力、生産力に亀裂が入りかけているような状況です。小さなお店、小さな企業から航空会社のような大企業まで大変です。たとえば地方の公共交通、ローカル線やバス会社がつぶれたら、多くの人が身動きが取れなくなります。そういった「今まで社会や地域を支えていた人や仕組み」がつぶれてしまうと、影響を受ける範囲というのはとんでもなく広いということが分かります。
にもかかわらず、株価が上昇するというのは、ものすごく異常なことが行われている、不自然なことが行われているということです。ということは、それはどこかでゆりもどしが来てしまいます。
庶民の生活を補償する部分はややこしく少額で、株価を維持するためのお金は膨大にじゃぶじゃぶ使われているということですね。
いいんでしょうか。
一番大事なのは、モノやサービスを提供する力を損なわないということです。それが損なわれたら株価も何もありません。暮らしそのものが成り立ちませんから。どうも見かけだけ健康に見せかけているように感じられてなりません。
株価のつり上げというのは、なんか健康診断の数値の改ざんみたいなことをしているような無意味さを感じます。すくなくても「国そのものが健康になる」という視点から見れば。(つづく)
誰かの言説、世の中の常識を頭から否定もせず、かといってうのみにもしないで、一度自分でも調べてみる、考えてみる。それが楽しめる心身を作ること。それも整体です。
生活整体研究家
津田啓史