達人 矢口語録

「達人 矢口語録」

なんせ、もと「道玄坂の政」ですから、江戸っ子です。お会いしたころはまさしく好々爺。浮浪雲の渋沢先生を少しお若くしたみたいな感じ。そのご隠居が現役世代をひょいひょいと投げ飛ばしては、練習を中断して皆を集めて江戸っ子弁、べらんめえ調で「武」を説かれるのです。勝海舟の「氷川清話」みたいな感じという感じです。

実力を今まさに目の前で見せつけられた後ですから、もうその講話にも説得力が破壊的にあります。私は昔から取材して書くことが好きだったのでこの機を逃してなるものかと、矢口語録を一言一句ほぼそのままに手元のノートに殴り書きをし、後日清書して印刷して部内に配りまして、当時は「津田メモ」として有名でした。

東京農大に行っても「ああ、あのメモの津田さんですか」てな感じでした。なので、かなりその内容を正確に覚えている(つもり)のです。

 

【矢口語録】
武道というのはね、やっちゃあいけねえんだよ。武道というのは自然じゃなくっちゃいけないんだ。

「自然」というのは自成しなくっちゃいけねえ。「自ずから」「成る」、それが武道だよ。

技というのはな、人がやっちゃいけねえんだ。人が為す。ひとが為したら「偽」になるんだ。自然だ、自然。

 

というようなことを、道場の黒板にばばばばっと書きながら講義される。

というので、おそらくは矢口先生の体得されたものの実感そのものを語られているので、得心せざるを得ないのです。ですが、実際には自分でやらないでじゃあ誰がやるんだ、ということで変わらない。わからない。

そういうのが40年前にありました。結果的に意図せず40年それを追いかけてきたことになります。そうやって見えてきたのが

「呼吸は深くしちゃいけねえんだよ。呼吸は深くなるのがいいんだよ。深くしたらそれは人が為したわけだから、偽物なんだよ」

ということですね。今見えてきたものが果たして矢口師範が教えようとされていたものかどうかはわかりませんが、矢口山の登山口ぐらいには行けているのではないかと思います。

というので、今日も低圧クッションとの濃密な関係性ができることで骨盤力を高める「マイクロストレッチ」にいそしむのでした。

 

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津田啓史(ひろふみ)