紙一重で助かった?その1

【紙一重で助かった?その1】

災害のことをよく書きますよね。被災地に行くと、「この地域は全然災害のない地域だった。まさかこんなことが起こるなんて想像もしてなかった」というようなことを、その土地の方が言われるのをとても高い確率でお聞きします。

そういうことを毎年のように実際に耳にしていると、自分の中でも、「人生というのは『まさか』が当然のように起こるものだ」というようなことがかなり当たり前になってきています。

数日前に、神奈川でコロナで職や住まいを失った方を、なんとか福祉につなげるようなボランティアをされている方の話を少し書きました。

こういう話でも、今のお仕事や生活が安定している方は、そういうことは自分自身にはまず起こらないと漠然と思っている方も結構おられるのかなと思いますが、私は災害から得た感覚をスライドして、そういうことが自分にも起こるかもしれない、という具合に想定した方が良いのではないかと思います。

そして、万一自分にそういう状況が起こったときに、それでも何とか生活していけるような世の中の仕組みが確保されているように情報のアンテナを張ったり、あるいはそういうことを進めていけそうな人に、選挙の票を使ったりしていくのが良いように思います。

神奈川のSさんに聞いたお話の一つ。雇われの大工さんのようなお仕事をして働いていた方。大工の親方から、個人事業主として働いた分だけ報酬を得るような形ですね。別に怪しい人ではなく、信用信頼して働いておられた。

コロナがどう影響したのか、木材の値上がりが関係したのか、また単に経営の失敗か分かりませんが、経営がうまくいかず賃金未払いの状態でその親方が失踪してしまった。気がついたらホームレスになっていた。

Sさんが支援した方の一人は、そんな状況だったそうです。そのあたりの限られた情報だけ聞いていれば、きっと「いや、大工の技術とかあるんだったら何とかなったんじゃない」という気がします。でも、安定していると思っていたものが、突然に崩れたときというのは、「えっ、まさか」というような感じで、きっと何とかなると思ってあれこれやっていたけれども、なんともならなかったのだと思います。

そして気づいたら「住所」というものがなくなり、それから携帯電話というものが使えなくなった段階で、まともに職を探したり仕事についたりするということのハードルはどうもめちゃくちゃ上がるらしいです。特に携帯電話がないと情報も入らない、応募もできない。

また、なんとか別の福祉にはつなげることができたかも、という方の場合は、所持金ラスト100円というところで支援団体と連絡が取れて、なんとかなる方向に一歩二歩むかうことができたのですが、お話を聞くとまさに紙一重。溺れる者は藁をもつかむの、まさに「藁一本」で何とかなったというお話でした。(つづく)


生活整体研究家
進化体操と和の体育

津田啓史 拝

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