春の肩甲骨

冬の間に引き締まった身体が、春の訪れとともに後頭骨・肩甲骨・骨盤が開いていく、というのが野口晴哉先生の整体での春の身体の見方です。

というのでこの時期「肩甲骨をはがす整体操法」というようなものが重視されるわけですが、一人ではできません。

そんな時に重宝するのが「ネックピロー(エアまくら)」です。旅行用のU字型の「いすに座ったまま寝る」ためのまくらですが、これの空気で膨らませるタイプのものが百円ショップで売っています。これがいい。

空気を一杯に入れないで柔らかめにふくらませるのがコツです。空気を一杯に入れないことで変形性に富んだものになります。座布団のようにイスに敷けば「こっそりバランスボール状態」になります。少し重心を変えるとぐにゅぐにゅと変形するのでそれを追っていくと、腰が実に多彩に動かせます。

腰がむちゃくちゃやわらぎ、背骨の弾力が出てきます。冒頭に「春は肩甲骨が大事だ」と書きましたが、柔軟な背骨は「生きている間中」大事です。

肩甲骨でいえば、仰向けで肩や肩甲骨にエアまくらを当てて、身体を動かせばいい。よくある体重をかける「指圧グッズ」とは違います。腰や背骨を動かすとまくらのエアが変形して、それを追うように肩回りが多様に動きます。しばらく楽しんでから起きて肩を動かすと、びっくりするぐらい軽くなります。背骨と肩甲骨の連動が生まれるのですね。

体重を掛けるという物理刺激でほぐすのではなく、エアが変形していくのを皮膚が追かけ、触覚に引っ張られて動きが出るのです。運動といえばいの一番に「筋肉、筋肉」ですが、運動というのは情報に応じて出てくるものです。だから柔らかくうごめく情報を身体に送れば、柔らかくうごめく運動が出てくるのです。

・・・・・・・・・・・・

そのほかにも、足にひもを巻くことで動きを良くするという方法も提案しています。もともとは足の骨の反射で進化体操の動きを活発にするための方法です。それをならった看護師さんが使いました。訪問先で使ったそうです。脳梗塞で自宅の廊下を7往復するのがその方のリハビリのメニューです。毎回息が切れて終わりになります。

ひもをまくと、なんと三倍の21往復。息が切れないし、疲れないのでやめようとしないので、最後は看護師さんが止めたそうです。

少しでも極上の進化体操の体感を味わってもらおうといろいろ研究して提案していたら、それらの多くが日常生活の中で動きをとにかく楽にする方法として取り入れられるものになりました。

手に入りやすいさまざまなグッズで、多様な能力開発を

進化体操と和の体育はこちら