10年前の今ごろ、宮城県石巻市で整体ボランティアしていました その記録1

「10年前の今ごろ、宮城県石巻市で整体ボランティアしていました その記録1」

 

【3月31日】
(携帯電話で娘に送った文面をアップしてもらったブログに加筆)

●朝5時半起床。パンで朝食。7時から宿舎でのボランティアミーティングはいつもどおり。

●8時 車にアピールする文章を貼り付ける。

つまり、こういうことである。私と採澤君は、被災地の困っている人をなんらか支援したいと思っている。しかし、地元の方々は、私たちが何ものなのかということを知らない。車に乗っていたら、ただ「滋賀ナンバーの車」という以外の情報はない。そこで、車にこの車はどういう車なのかということをPRしようという作戦である。

コピー用紙に「この車は整体師が乗っています」「必要な物資を届けることができます」「携帯電話 ●●●番」「少量ならガソリンをお分けできます」「災害情報はFM石巻 76.4メガヘルツ」「水のいらない赤ちゃん用のミルク積んでいます」

これを左右と後の窓ガラスに貼り付ける。

●10時 柔道整復師の小野さんと合流。湊小学校へ。体育館で整体。

●12時 採澤君が、持参したキャンプ用コンロを使って、あんこと塩ともちでぜんざいを作り、超ミニ炊き出しを実施。日本財団足湯隊の人と食べる。

体育館の中ではパキスタンの人が、連日色々なカレーを作っては炊き出しをしている。いただいた。絶品だ。

●14時から16時 日本財団足湯隊。体育館だけで足湯をやっていたが、教室から動けない人もいるだろうから、校舎にも部隊を送り込み、教室ないし廊下足湯を決行。

足湯隊にくっついて教室整体開始。足湯を受けている人の肩をすかさずキャッチして、そのまま足湯整体に突入などいろいろと試す。

5年1組の教室で、徐々に好評になり、結局最後までその部屋で夕方まで実行。

整体が進むと、徐々にいろいろな話が出てくる。

「この部屋にはねえ、命を救った人がたっくさんいるんだよ」

「あの人はバックネットにつかまって一晩すごした人」

「その人は電柱」

ところで、この時期湊小学校には「トモダチ作戦」の一環なのか、アメリカ兵・海兵隊?の部隊が活動していた。この日、グランドに車を停める時に、おそろしくぬかるんでいる一角しか空いておらず、ここに停めたら出すときには誰かに押してもらわないと無理だろうなと思いながら停めた。

アメリカ軍トモダチ部隊は、グランドのがれきの撤去を担当しているようである。お昼にタンタンタンタンタンタンと金づちを打つような速さで、1メートルぐらいのハンマーでコンクリートのがれきを破壊していた。その後、がれきを片手でぽいぽい放り投げていた。仕事は雑だがパワーは凄い。アメリカという国を理解した。

そして、車を移動させようとして、近くの日本人の方数人にお手伝いをお願いした。泥で出られない車を押しているのをみた米軍・トモダチ部隊は、ちょうど手が空いていたのだろう、わらわらとやって来てわが車の前側から側面にかけて10人以上が張り付いて一気に車を押し出した。

あまりの迫力にありがたいというよりも怖かった。でもありがとう米軍のみなさん。私の一生の中で、米軍と一瞬だけでも共同のミッションを行うとは思いもしませんでした。

昨日の「リラクゼーション&エンタテーメント」分科会に顔を出した「被災者のために歌を作りました、避難所で歌いたい」と言っていたおじさん。その話を聞いていた時に、なんかずれている気がしていた。そのおじさんが、炊き出し場所であり、物資の配給所になるここの体育館で昼休みに歌うということになった。

昼休み、舞台に上がったおじさん「みなさんのために歌を作りました。子どもたち、前に来てください!」

炊き出しに並んでいる人は、当然そのまま炊き出しに並んだままだった。物資置き場で必要なものを探している人は、そのまま必要なものを探していた。子どもはいきなり見ず知らずのおじさんの元へ駆け寄ったりはしない。誰一人歌のおじさんの呼びかけに動く人はいなかった。おじさんは、誰も聞いていない空間に歌を披露した。おじさんの避難所慰問活動は、それだけで終わった。

被災地救援に、自分のできることしかできないのはあたりまえである。しかし、自分のできることをやるというのと、自分がやりたいことをやるというのは違うのである。被災・避難されている方に届かなければ、何の意味もないのである。

●19時 団体連絡会議。また新しいメンバーが増えた。国際武道大学・ボクシング部コーチ・青いジャージの青木宝子(たかこ)。

「スポーツマッサージぐらいはできますし、避難所のみなさんに、血栓予防の体操やペアマッサージの教室なんかもやりたいです!」と体育系大学関係者としてその決意を語るのである。

しかし、その勇ましい肩書きとは違って、いたってかわいらしい娘さんである。きわめて礼儀正しい女性である。口の悪い関西のおっさん、にいちゃん(津田、採澤)にさだめし難儀したことであろう。

多忙な中をやりくりしつつ、6月初旬まででも、彼女は都合三回被災地救援活動を繰り返した。

整体チームは、ついに紅一点を加え、一挙に立ち上げメンバーから人数倍増の4名となる。

日本財団足湯ボランティア隊は、明日は湊小学校に加え、少し北にある「祥心会」という福祉施設に一隊増やすらしい。(つづく)

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